03.日経春秋80字

2008年1月 7日 (月曜日)

2008年1月第2週

  1. 長期目標  2008年卒業(原論+12単位)
  2. 中期目標  1月試験8単位取得
  3. 今週の目標
  • 原論23章までレジュメ
  • 国民所得論(7日)
  • 西洋経済史(11日)
  • 卒論、構成ならびに4000字セル作成

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2007年5月28日 (月曜日)

5月28日日経春秋

少子高齢化の進展の中、タクシーは重要な交通機関だ。サービスや価格を工夫して売上を伸ばす会社もある。値上げの議論は、受給と価格の問題だけでなく、安全で多様なサービスを育む議論も期待したい。

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2005年12月27日 (火曜日)

2005年12月27日

【要約】

安藤忠雄は、阪神大震災で住宅崩壊に遭い、価値観が転換した。建築は「住む事の本質を問い、生きる実感を喚起すべきだ」と言う。経済設計に翻弄される人々に聞かせたい。

【本文】

関東大震災で壊滅した東京の街に日本で初めて耐震耐火構造の鉄筋アパートが登場したのは1926年である。原宿に古びたたたずまいを残していたその一つの「同潤会青山アパート」が年明けに「表参道ヒルズ」として生まれ変わる。

震災復興へ向けて造られた財団法人が手がけたこの洋風集合住宅は高級マンションの先駆けでもあり、都心に勤めるサラリーマンや文化人が競って入居した。それを取り壊して80年後によみがえったのは住宅と店舗など低層の複合施設で、屋上を緑化してけやき並木など周囲の自然とのつながりに配慮している。

設計にあたった安藤忠雄さんはコンクリートの打ち放しで知られた建築家だが、阪神大震災に遭遇してから被災地を訪れてモクレンなどの木を植える運動をすすめ、都市緑化に関心を向けた。人の日常の暮らしの場である住宅の設計者がその崩壊の現場に立ち会うことには大きな痛みと価値観の転換があったろう。

マンションなどの設計を巡る建築業界の耐震強度偽装事件で住まいに対する人々の信頼がこの冬大きく揺らいだ。専門家と呼ばれる人々が「経済設計」の求めを疑わずに人命にかかわるうそを通す。「住まうことの本質を問い、生きている実感を人間の身体に喚起する建築でありたい」。安藤さんはそう書いている。

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2005年12月26日 (月曜日)

2005年12月26日

【要約】

年賀状を瞬時に仕分ける作業は事務的で冷たい。だが、ネット検索の結果が人の行動や気持まで左右するのなら、同様に数字しか認識しない仕分け作業にも温もりを感じる。(78)

【本文】

最高速度は1秒間に12枚。郵便番号の判別機が葉書(はがき)を撃ち出す様はマシンガンのようだ。約40億枚の年賀状の仕分け作業が、いま最高潮を迎えている。巨大な機械が昼夜黙々と働く姿は壮観でもあり、情け容赦のない冷たさも漂う。

寺田寅彦が随筆「年賀状」でこんな話を書いている。似た文面を交換するだけだから、出しても出さなくても同じこと。悪筆も苦痛で若い時分は全廃説を唱えた。だが中年を過ぎて思いが変わった。人々を結ぶ無数の線に過去現在未来の喜怒哀楽、義理人情の電流が流れている。何と驚くべき空間網ではないか……

いかに機械が有能でも、分かるのは記号や数字だけだ。ひとが賀状に込めた気持ちまでは読み取れない。忙しい郵便の仕事場を見学していて、私たちの日常に浸透したインターネットのことをふと思った。膨大な情報を分類する郵便局のマシンに相当するのは、電子空間ではグーグルなど検索サービスではないか。

仕事も買い物も、まずは検索。情報の提供者は最初の画面の上位5番までに入るのが勝負という。検索を頼りに次の行動を決める人が多いからだ。人間の行動や心情まで左右する力を握りつつある検索サイト。図書館の蔵書を丸ごとのみ込むという計画を聞くと、巨大だが単純な郵便仕分け機が可愛(かわい)くみえてくる。

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2005年12月25日 (日曜日)

2005年12月25日

【要約】

クリスマスは、洋や時代を問わず祭りの季節だ。米国ではキリスト教色が薄れている。日本では好景気に活気づく。クリスマスに、主義やお金に移ろう人の気持ちが見える。(78

)

【本文】

冷え込んだ街の広場は色とりどりのクリスマスの飾り物を並べた屋台が軒を連ねる。温めたワインのカップを手に家族連れやカップルが白い息を吐いてその間をそぞろ歩く。欧州の地方都市で見た歳末風景の記憶は日本とよく似ている。

東京・早稲田の穴八幡宮ではこの時期に「一陽来復」のお守りを求める人々でにぎわう。陰が極まって陽がよみがえるこの季節に古代ローマでは収穫への感謝と太陽の復活を祝うお祭りが行われていたという。クリスマスの行事も「冬来たりなば春遠からじ」の冬至にかかわる共通の民俗的な背景があったらしい。

米国ではそのクリスマスがこの冬さま変わりしているという。広告などで「メリー・クリスマス」から「ハッピー・ホリデー」へとあいさつ文の変化が目立つのは、移民による民族の多様化で非キリスト教系市民が増えたことが影響している。ブッシュ大統領を支えたキリスト教右派がこれに反発して論争を広げた。

ミニバブルともいわれる景気の波に乗って日本のクリスマスの街角は例年にもまして活気づいている。英国の作家ディケンズは『クリスマス・キャロル』で強欲一筋の主人公を登場させた。その名は「守銭奴」を意味するスクルージ。博愛と人のきずなの重さを訴えた作品を通してクリスマスの心の移ろいを思う。

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2005年12月24日 (土曜日)

2005年12月24日

【要約】

砂漠の国ドバイにはスキー場のみならず、モールやホテル、オフィスビルなどが林立する。テロの続くイラクの近隣に、原油高による擬似バブルの国があるのも中東の現実だ。(79)

【本文】

寒波で大雪のイブを迎える地域も多い。雪と無縁の常夏の国で綿をかぶせたツリーを見て違和感を覚えたこともあるが、砂漠に人工雪のスキー場となると、違和感を通り越しビックリだ。アラブ首長国連邦の構成国の1つドバイにできた。

ショッピングモールに併設の屋内スキー場の開業は世界のメディアが報じたが、先月そのドバイを訪れ、ビックリだらけの国と知った。別の新設モールは、中国の宮殿やエジプトの神殿などが連なる外観がハリウッドの特大セットのよう。内部も外に合わせてペルシャ風ありトルコ風あり、広すぎて迷ってしまった。

人工島に建つ「7つ星ホテル」の異名を持つ超高級ホテルはじめ、世界のブランドホテルが勢ぞろいしているが、なお新築計画が目白押しで、最近はラスベガスにあるようなテーマパーク風も現れた。目下建設中の高層オフィスビルだけでも何十本とある。「砂上の楼閣」の語が頭をよぎったが需要はあると聞いた。

ハブ空港、ハブ港湾を持ち湾岸のビジネスセンターへと邁進(まいしん)するドバイといえども人口は100万人あまり。近隣諸国からの集客が当然勘定に入っている。原油高というサンタの贈り物が強気を支えているようだ。自爆テロ相次ぐイラクから1000キロと離れていない砂漠の上のバブルに似た活況も、中東の現実の一面である。

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2005年12月23日 (金曜日)

2005年12月23日

【要約】

日本の人口自然減への対策は少子化対策と制度組替だろう。ペストによる人口減が西洋文明の盛隆要因であるならば、今日本に必要なのはペスト禍当時の人々と同じ強い意志だ。(80)

【本文】

5040」とはプラトンが理想とする国家の世帯数だ。この水準を割りそうになったら多産には名誉、少産には不名誉を与えて子供を増やし、それでもダメなら「卑しい教育を受けた者」を市民に加えてしのぐ。哲人の説く少子化対策は少々単純で荒っぽい。

時代が下ると、人類はより本質的な解決法で人口減少を克服したことを『人口と文明のゆくえ』(河野稠果ほか編)という書物が教えている。例えばペスト禍に見舞われた145世紀についての学説。労働力不足を補うため閉鎖的なギルド外からも広く人材を集め、農機具や船舶などの技術革新で効率化を図り、教育にも力を入れた結果、大学が増え、画期的な印刷技術も生まれた――

別の学者は、人口の多さが、中世の人々に新技術の必要性を気付かせなかったと見る。ペストによる人口減が西洋文明の隆盛を促したとする視点は、日本の人口が明治以来、初の自然減を記録したとのニュースがもたらす漠とした不安感を和らげてくれるだろうか。

仕事と家庭の両立支援など可能な限りの少子化対策と、人口減社会に合わせた制度の組み替え。予測より早い「X年」の到来だが、打つ手のメニューは大体想定できる。1番重要なのは未曽有の試練にあらゆる努力を払った「ペスト後」の人々と同じ強い意志だろう。

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2005年12月22日 (木曜日)

2005年12月22日

【要約】

かつて大晦日は厳かな日だった。近年、年末の一週間は他国に倣って休日モードとなり、バブル期にはどのレストランも満席となった。今年の株高がバブルかはこの週にわかる。

【本文】

東京都内を流すタクシードライバーたちは平成になってから1年が1週間短くなったように感じるらしい。天皇誕生日までには仕事を片づけておきたい。多くの人がそう考えるのか、昭和のころよりも道路混雑が早く始まり早く終わる。

この説に従えば、きょうは事実上の大みそかに近い。「父祖の地に闇のしづまる大晦日(おおみそか)」(飯田蛇笏)と詠まれたようにかつて日本の大みそかは大宇宙の営みさえ感じさせる厳かな日であり、特別な日だった。22日であれ31日であれ、少なくともいま東京ではそんな感慨を呼び起こす光景は見つけにくい。

▼1
年の最後の1週間が半ば休日モードになってきたとすれば、経済のグローバル化の影響でもあるのだろう。世界の多くの国々ではクリスマスを挟むこの時期を「ホリデーシーズン」と呼ぶ。特に米国のクリスマスイブは日本の元日を連想させる。ふだん終夜営業のファミリーレストランもイブだけは早じまいだ。

日本ではその夜はどんな高級レストランも予約でいっぱいになる時代があった。気取ったフレンチからお値打ちのイタリアン、さらにエスニックや居酒屋に人気が移った時期も。株高に沸くことしはどうだろう。この1週間ほど世の動きを眺めれば、バブルの再来かどうか、いまの日本を判断できるかもしれない。

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2005年12月21日 (水曜日)

2005年12月21日

【要約】

文明国の常識である罪刑法定主義も、耐震偽造問題では罪が軽くうとましい。労は多いが問える罪は狭い。しかし事実の解明がすべての基礎だ。捜査陣は頑張って欲しい。(77)

【本文】

何をすれば犯罪になり、どんな刑罰を科せられるかは、あらかじめ法律に明記されていなければならない。罪刑法定主義と呼ばれる原則で、日本の、というより文明国の常識だ。確かに何が罪になるかを知らされずに社会生活は営めない。

とはいえ、時にこの原則がうとましく思える。耐震偽装問題で100カ所以上の一斉捜索が行われた容疑が、建築基準法違反である。最高でも50万円の罰金だ。罪の深さと罰の軽さに、舌打ちもしたくなる。古代バビロンの王様は「大工の建てた家が、堅固でなく倒れて家の主が死んだら、大工は殺される」と定めた。

倒壊で「家の子が死んだら、大工の子が殺される」し「器物を破損した時は、同等品を弁償し且(か)つ家を建て直す」という条文もあった(飯島紀著「ハンムラビ法典」)。当時は、設計、施工、販売の別なく責任追及も簡単だろう。ただ、厳罰を科した3700年ほど前の同法典は倒壊が起きない限りおとがめも無い。

「強制捜査」には留飲が下がる語感があるが、罪を認めているのは姉歯秀次元建築士ただ1人。より刑罰が重い詐欺罪なども視野に入れた捜査になるだろうが、刑事責任の連鎖をどこまで立証できるか並大抵ではない。だが、事実の解明はすべての基礎になる。労多く問える罪は狭く、捜査陣の踏ん張りが頼りだ。

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2005年12月19日 (月曜日)

2005年12月19日

【要約】

ノーベル賞受賞を望む韓国が国を挙げて厚遇した教授に、論文捏造疑惑がある。だが国内のネット世論では教授礼賛一色だ。目標受賞者数を定めた日本も国家主義を警戒したい。

【本文】

研究者の業績を測る物差しって何だろう。生命科学の分野では、CNS指数なるものを、1つの目安にする人もいる。CNSは国際的な3つの科学論文誌、「セル」「ネイチャー」「サイエンス」の頭文字で、それらに論文が何回掲載されたかをカウントする。

▼いま韓国で大騒ぎになっているスーパーエリート大学教授の論文捏造(ねつぞう)疑惑で、対象の論文はサイエンス誌に掲載された。世界が熾烈(しれつ)な研究競争を繰り広げているES細胞=いわゆる万能細胞づくりに成功したという論文が、サイエンス誌に載ったことで、教授にノーベル賞の期待も――。

▼韓国にとって自然科学分野でのノーベル賞は悲願でもある。それにいちばん近い教授に、国は惜しみなく資金をつぎ込み、厚く遇した。研究に権威を与えた論文誌と、国家の威信をかけて支援し続けた政府。捏造疑惑が事実なら、両者の責任は重い。それを避けようと、全容を解明せずに幕を引いてはなるまい。

▼ES細胞については、宗教的・倫理的な制約から、欧米は足を踏み出すのが遅れた。再生医療の鍵を握るこの分野で韓国は法を整備して先頭に飛び出した。韓国のネット社会で教授は国民的英雄で、批判はタブーだ。日本もノーベル賞の受賞者数を国家目標に掲げていて、韓国のネットナショナリズムを笑えない。

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2005年12月17日 (土曜日)

2005年12月17日

【要約】

石川氏の死去で、ゼネコン汚職当時、組合の企業監視力が弱いと嘆いた日経連理事を思い出す。今や組合組織率低下が止まらない。日経連に対抗できる組合が必要なのではないか。

【本文】

鹿島元社長の石川六郎さんの死去を伝えるニュースを読み、ゼネコン汚職の騒ぎの最中に、日本商工会議所会頭を辞任した石川さんの無念そうな表情を思い出した。業界のリーダーとして「道義的責任」を追及された結果だった。

ゼネコン汚職の責任は経営者にあったが、「労働組合の諸君がしっかり監視していれば、こんな不祥事は防げたはずだ」という旧日経連元専務理事の松崎芳伸さんの言葉が記憶に残っている。松崎さんは経営側を代表して組合と厳しく対峙(たいじ)しただけに、立場の違いを超えて組合をよく知り存在意義を認めていた。

昔、日経連の幹部が労働組合の指導者たちを日本工業倶楽部に招いて懇談したとき、お昼になったのでカレーライスを出した。しかし「彼らは一口も食べなかった」という。潔癖すぎるほど、けじめにうるさかった組合の運動家を覚えていたので、企業のお目付け役として非力な組合がじれったかったようだ。

▼10
年余を経て今、労組の影はさらに薄くなっている。厚生労働省の発表では、今年6月末時点の推定組織率は18.7%と30年連続低下を記録した。歯止めがかかる兆しはない。戦後の労働攻勢に対抗して旧日経連が発足したとき「経営者よ、正しく強かれ」を掲げた。今は逆に「組合よ、正しく強かれ」か。

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2005年12月16日 (金曜日)

2005年12月16日

【要約】
証券会社は誤発注につけ込んだ利益を返上す
る。個人投資家も利益の一部を寄付してはど
うか。市場には強欲以外に道徳も必要だ。過
度な強欲には司法の判断を仰ぐことになる。(80字)
g

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2005年12月15日 (木曜日)

2005年12月15日

【要約】

新しいMOMAに作品のあるル・コルビジェは、安全制約の中で建築を進化させた。建築の安全を問う国会証人喚問には、証人のみならず質問者にも職業人の誇りが感じられてない。

【本文】

たしかに、そこはとても居心地のいい場所だった。日本の建築家、谷口吉生さんの設計による新しいニューヨーク近代美術館(MOMA)は、内外で評判が高い。観客と作品と、透明感のある伸びやかな建物がなじんで、館内が一つの絵画のように映る。

そのMOMAで、もう1人著名な建築家の作品を見つけた。ル・コルビジェ。東京・上野の国立西洋美術館の設計でも知られる近代建築デザインの旗頭は、明快で簡潔な表現をめざすピュリスムの画家でもあった。機械や楽器を題材にした彼の静物画が、ピカソらキュービズムの圧倒的なコレクションの脇にある。

ル・コルビジェの建築上の功績は、コンクリート造りで、壁を自由な面として解放したことだといわれる。柱と床で荷重を支えることで、壁は様々な意匠と機能の場となった。安全という制約の中で、建築は進化する。きのうの国会証人喚問では、建築士が安全を放棄した本当のわけが、さっぱりわからなかった。

偽装の張本人も、コンサルタントも、施工業者も誠実に答えず、面子(めんつ)は気にしても、職業人としての誇りは持ち合わせていないらしい。建造物より先に業界人の「劣化」が始まっているのかもしれない。時間ばかりかけて、踏み込んだ核心をつく質問ができない側にも、その気配は……

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2005年12月13日 (火曜日)

2005年12月13日

【要約】
ワンクリックで売買できる「株式ネット取引」が今年の流行だ。現代の株売買には、高度成長期の均質な幸せ願望と違い、階層化社会を見据えた安易な上流願望が見える。(77字)

【本文】
『日経MJ』がまとめた今年のヒット商品番付で横綱に米アップル社の携帯音楽プレーヤー「iPod」、大関には「クールビズ」と並んで「株式ネット取引口座」が選ばれている。主婦や学生まで巻き込んだ株ブームの立役者である。

▼初心者がネットの画面に張り付いて売り買いの注文を繰り返す。ゲーム感覚で稼いだお金で高級車を買ったといった話題も目立った。みずほ証券によるジェイコム株の誤発注で巨額の損失が発生した事件では、東京証券取引所のシステムの不具合が明るみに出て、鶴島琢夫社長が引責辞任する意向を明らかにした。

▼「マネービル」という言葉が流行してサラリーマンや主婦層が株式投資に熱を上げたのは高度成長期のはじめである。家庭ではテレビに電気冷蔵庫、洗濯機の「三種の神器」を競って購入した。日本人はそろって上を向く暮らしにあわせて消費に均質な幸せを託してきたが、今回の株ブームはいささか違うようだ。

▼「1億総中流」と呼ばれた社会に競争による階層化の兆しが広がる。貯蓄から投資へのかけ声に促されて一獲千金を目指すネット投資家の動きと東証のシステムの不具合のかかわりも指摘されている。「セレブ」への夢と「下流」への不安。ワンクリックでまひする甘い危機管理の影にそんな消費の表情がのぞく。

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2005年12月11日 (日曜日)

2005年12月11日

【要約】
子供にとってどこが安全な場所なのか。通学
路や学校内だけでなく、塾まで危険になって
しまった。中学受験産業が急成長しているが
、講師の採用基準に問題はなかったのか。(79字)

【本文】
夜遅く都心のビルの谷間で携帯電話片手の小学生を見かけることがある。塾が終わり「帰るコール」をしている。塾の前に親の車が待つ風景も珍しくない。小学生の通学路の悲劇が相次ぎ、塾通いの子をもつ親も心配だろうとは思ったが。

▼京都府宇治市の事件には耳を疑った。行き帰りではなく、朝、学習塾の教室で小六女児が殺された。刺したアルバイト講師の大学生は、凶器の出刃包丁を用意していた。登下校時が危険。学校で外部の侵入者の手にかかった事件の記憶もまだ残る。塾でも。となれば子供たちにいったい安全な場所はあるのだろうか。

▼たまたま日経ビジネス誌が「10歳からの能力主義」のタイトルで、過熱する小学生の受験事情を報じている。大都市圏を中心に中高一貫の私立中学を受験する子供が急増し、小学生向けの受験塾や家庭教師派遣などの受験産業が繁盛しているという。事件があった塾もこの日、中学受験の模擬試験が予定されていた。

▼急成長で、講師を採用する際の人物の吟味がおろそかになっていなかったか。指導には熱心という容疑者だが、逮捕歴や停学になったことを塾側は把握していなかった。地域が主体になり、お金を出し合って日本で最初の小学校ができたのが京都市である。その原点から遠からぬ地で、こんなことが起きてしまった。

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2005年12月10日 (土曜日)

2005年12月10日

【要約】
一連の事件で、民間検査の信頼性が問われて
いる。国に代わる第三者機関による評価には
、社会的公正とリスク管理への責任が求めら
れる。思わぬリスクへの対応も不可欠だ。(79字)

【本文】
国などの規制や統制に代わって第三者機関が評価や格付けを行い、それをもとにして市場が動く。企業活動や行政の運営はもちろん、最近は大学や病院経営にもこうした手法が広がる。当然その物差しが狂えばリスクは社会全体に及ぶ。

▼カネボウの旧経営陣による粉飾決算に関与したとして逮捕された大手監査法人の公認会計士がその一例だが、この間の一連の耐震強度偽装事件ではこれを見逃した民間検査機関の信頼性が改めて問われている。中立性が建前だが株主や職員にメーカーなどの関係者がかかわる例が多い。検査に手抜きはなかったか。

▼こうした外部の評価機関は規制緩和により競争を促進させながら事業の質を保証する自律的な社会の仕組みとして重い役割を担う。建築士という専門家の生命や安全に対するモラルハザード(倫理の欠如)に加えて、レフェリー役の検査機関に「未必の故意」があったのなら事態は深刻だ。

▼「エンロンが強盗を働きあなたたちが逃走車を用意した」。米エネルギー大手の粉飾決算にかかわった大手監査法人の責任を司法当局が追及した時の言葉である。社会的公正とリスク管理へ民間検査機関に求められる責任も同様だろう。ジェイコムショックなど思わぬリスクが露出する社会にあって、新たなモラルの担い手が必要である。

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2005年12月 9日 (金曜日)

2005年12月09日

【要約】
「子供が大人になるさま」を描いた映画『あ
る子供』の舞台は、欧州の退廃した街だ。
監督は「若者が大人になれない」日本を、映
画の舞台の街にどう重ね合わせたのか。(77字)

【本文】
産業構造の変化に取り残された殺伐たる街。酒や麻薬に溺(おぼ)れる親。物盗(と)り稼業で日を送る若者。ヨーロッパの社会派映画で目に付く設定だ。今年、カンヌ映画祭で最高栄誉の賞を得た「ある子供」(ベルギー・仏)も例外ではない。

▼盗品を売って日銭を稼ぐブリュノは20歳で父親になった。親の自覚もあらばこそ、カネのために、いとも気安く我が子を売ってしまう。失業、貧困、無教養、家庭崩壊。絶望的な環境に抗(あらが)いもせず、子供のような無邪気さで場当たり的に生きる主人公だったが、ふとした瞬間、ともに盗みを働いた少年をかばう気持ちが芽生え……。

▼「子供が大人に成長するさまを描きたかった」という監督のダルデンヌ兄弟と立ち話をする機会があった。今週末の日本公開に先立つ一夕。映画に現れた地方都市の衰退ぶりや若者の閉塞(へいそく)状況を語った彼らいわく「日本の若者もなかなか大人になれないそうですね」。

▼フリーター200万人、ニート60万人、児童虐待の相談年間3万件、そして新たな階層の出現を描いた新書『下流社会』の発行部数50万部。疎外された若者や、親の自覚が無い親の急増、格差の拡大・固定化への人々の不安といった日本の今の状況を、わずかな滞日で直感的に読み取ったような兄弟監督の憂い顔が、妙に気にかかる。

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2005年12月 8日 (木曜日)

2005年12月08日

【要約】
次期英首相候補に39歳の保守党党首がいる
。日本でも次期首相と目される候補の若さが
話題だ。高齢なレーガン氏が選挙で見せた年
齢を逆手に取る機知を見せてほしいものだ。(80字)

やっぱり本文がないと、見ている人もわかりづらいですね。
毎日はじめに投稿する人が、本文も一緒に掲示しましょう。

【本文】
トニー・ブレア英首相が労働党党首になったのは41歳の時だ。野党党首で来日した際に記者会見で颯爽(さっそう)たる言動に接し、オーラというやつか、政権をとる人だと直感した。その首相も最近は白髪が増え、老眼鏡を用い、疲れも見える。

▼お株を奪うライバルが現れた。野党の保守党の党首選挙で対立候補を大差で破ったデービッド・キャメロン「影の内閣」教育・技能相(39)だ。議員歴4年あまり。ダークホース的存在だったが爽(さわ)やかな弁舌で支持者の心をつかんだ。次の総選挙では、ブレア首相の有力後継者ブラウン財務相との対決になりそうだ。

▼「ポスト小泉」レースでも「若さ」が取りざたされる。世論調査は下馬評に上る候補で一番若い安倍晋三官房長官(51)の人気が高い。民主党が40代の前原誠司代表なのも、安倍氏には追い風との評もあれば「若ければいいという問題では」という牽制(けんせい)発言も飛ぶ。米大統領選でも年齢が問題になったことがある。

▼といっても若さではなく、再選に挑んだレーガン大統領の高齢である。テレビ討論で話がそこに及ぶと73歳の大統領は「私は年齢を争点にするつもりはありません。相手候補の若さや経験不足を政治目的に利用したくありません」と見事にうっちゃり、会場を沸かせた。年齢を云々(うんぬん)するにもこんな機知がほしい。

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2005年12月 7日 (水曜日)

2005年12月07日

【要約】

ドイツにはサンタの代わりに手抜きや嘘に厳
しいクリスマス男が来る。強度偽造が起こる
日本にも来て欲しいものだ。日本のクリスマ
ス男が商業神話に追われているのは哀しい。
(80字)

【本文】

ちょっと怖い話をしよう。サンタクロースが世界中どこでも優しい白髭(ひげ)のお爺(じい)さんだと思ったら大間違いだ。ドイツで24日の聖夜に現れるのは、あの「サンタ」ではなく「クリスマス男」という別の人物。子供たちはこの男を恐れる。

▼男はよい子には菓子や果物をくれる。ところが悪い子だと分かると、背後から黒装束の従者が出てきて小枝で子供を叩(たた)く。プレゼントではなく、ジャガイモの皮や台所の生ごみなど、嫌な物を置いていくこともある。本物のサンタ、聖ニコラウスは早々と12月6日に来る。この人も怒鳴ったりして実はこわい。

▼ドイツでジャガイモとくれば母親の仕業と知れて大人は笑えるが、秋田の「なまはげ」に似て、雪国には手抜きをする怠け者や嘘(うそ)つきに厳しい文化があるようだ。頑丈な物作りのドイツ魂は、そんな幼少時代に育つのだろうか。壊れるビルを平気で建てる人々がいるこの国に、クリスマス男に来訪を頼みたくなる。

▼赤白の服、トナカイ、煙突の物語は19世紀の米詩人クレメント・ムーアが「クリスマスの前夜」で描いた。この定番を各国に浸透させたのは1930年代のコカ・コーラ社の広告である。今では真夏の南半球にも厚着のサンタが出現する。商業神話に追われて散財する日本の“クリスマス男”には少し哀愁が漂う。

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2005年12月 6日 (火曜日)

2005年12月06日

【要約】

少女への犯罪や放課後の多忙さが子供の居場
所を狭めている。豊かな心が育ち難い社会にな
った。大人社会は、子供の安全を守ると同時に、
人間不信を解く努力も必要だ。(77字)

【本文】寒気団で列島が冷え込んだ先週末、心なしか街角や公園などに子供たちの姿が少なかった。風花が舞う天候のせいばかりではなかろう。「いたいけな」と呼ぶほかない小学校1年生の少女が相次いで憎むべき残虐な犯罪の犠牲になった。

▼少子化がすすむなかで子供の居場所がますます狭まっている。学校の教科のあとには部活動や学習塾が待ち受ける。家路の途中の道草の楽しみや放課後の語らい、友人たちとのささやかな冒険などは大人たちの懐かしい思い出だが、都会の私立校では通学駅などの通過を携帯電話で親に通報するシステムが広がる。

▼「マッチ売りの少女」や「はだかの王様」などの童話で日本の子供にもなじみの深いデンマークの作家、アンデルセンが生誕して今年で200年になる。さまざまな伝説などをもとにした自然や人間とのかかわりを、時には社会批判を込めて描いた作品は、子供の心の世界を広げる翼になって世界中で親しまれてきた。

▼子供たちを巡って日本に起きている現実はそんな豊かな心の土壌を危うくする。ITを利用するなど子供の安全のための努力は大人社会の義務だが、その傍らで不信の連鎖を解く努力も必要だ。アンデルセンは言っている。「もしも氷の上で滑ってころんでも、さあ、すぐに立ち上がって。そして皆と遊ぼう」と。

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2005年6月24日 (金曜日)

【春秋】2005年6月24日

春秋(6/24)

 「浅い緑の葉を透した日光で、その辺一帯、緑色になつてまことに爽やか」と志賀直哉は書いている。学習院高等科時代の夏の初め、草津温泉に向かう途上の印象だ。ふた親殺しという異常行動に出た少年は、犯行後立ち寄った同じ温泉郷に、どんな光や色を見て取ったのだろうか。

寮の管理人だった両親をあやめた後、少年は証拠隠しのためガス爆発の時限装置を仕掛けたという。殺害動機は父親に「頭が悪い」と言われたからと供述したともいう。逃走後に少年が見た景色同様、犯行前の心の内なる光景もいまだ不明だが、短絡と周到が交錯するような15歳の行動に慄然(りつぜん)とするばかりだ。

世間一般に目を転ずると、親子の断絶という言葉はもはや耳タコ状態ながら、先ごろ出た「青少年白書」(内閣府)の数字はやはり気に掛かる。父親について「私(子供)のことをよくわかっている」と答えた青少年は3割以下。当否はともかく子は子なりに父の無知・無関心ぶりを冷徹に観察している節もある。

一方、母親の場合は5割近い子が自分の理解者と認めているから、男親への点の辛さが際立つ。ちなみに父の人生を「生きがいのあるもの」と見ている子は白書では1割台。職場ではばたくことの難しい時代ならではの、いささか苦い親子の情景が透けて見える。

80字】

ふたおや殺しの少年の行動には慄然とする。統計を見ても、父の子への無関心ぶりや、父の人生への冷静な観察が見える。父が職場で輝かない時代のせいか。

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2005年6月21日 (火曜日)

【春秋】2005年6月21日

春秋(6/21)

 朝鮮半島の西南端にある珍島(チンド)は潮の満ち引きで本土と地続きになったり、離れたりする「海割れ」の名所として知られる。海峡一帯は李朝中期、出兵した豊臣秀吉の軍勢を名将といわれる李舜臣が亀甲船で打ち破った場所として有名だ。

その武将の生涯を描く韓国の小説『孤将』(金薫著)を北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんが邦訳した。初仕事と思えぬこなれた文章を追いながら、かつて訪れた荒々しく渦巻く海を思い起こした。隣国の明と日本の間で揺らぐ李朝の下、派閥抗争や裏切りに苦悩しながら死んでいく姿はありきたりの英雄譚(たん)ではない。

過去の日本の侵略や植民地化などで日韓関係が屈折した歴史を負っていることを否定する人はいない。40年前に調印された日韓基本条約も、戦前からの歴史に両国の主張を重ね合わせて折り合った出発点だった。小渕首相と金大中大統領の間でかわした1998年の宣言はその未来へ向かう具体的な道標である。

国交正常化から40年を迎えて、訪韓した小泉首相と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の会談がソウルで行われた。江戸時代には12回にわたって朝鮮国王が日本に派遣した朝鮮通信使の歴史がある。近くはサッカーW杯の共同開催や「韓流ブーム」など民間の交流は広がり続ける。互いの歴史認識はそうしたなかでこそ深められる。

【80字】

蓮池さんが邦訳した李舜臣の生涯のみならず、日韓の屈折した歴史は否定できない。日韓基本条約や98年の宣言をはじめとして、両国の官民の交流の中で歴史認識は深まる。

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2005年6月11日 (土曜日)

【春秋】2005年6月11日

春秋(6/11)

 蒸留機からほとばしり出たばかりのウイスキーの原酒は、透明でまるで別の酒である。口に含むとアルコールの刺激が舌をぴりぴりと刺し荒々しい。樽(たる)に詰めてじっくり寝かせて、まろやかな味わいの琥珀(こはく)色のウイスキーが出来上がる。

歴史もこれに似ていると言ったら専門家に怒られるだろうか。信長がどうしたとか、坂本龍馬の魅力がどうだといった話題なら、誰しも引き込まれ座が盛り上がる。だが近い歴史は難しい。先の大戦までの近現代史には、過酷な体験をした人たちには様々な思いがある。ことに近隣諸国には不快な記憶が残る。

互いに冷静に語り合える歴史とするには、相手の主張をよく理解する必要がある。日韓両国の歴史学者による共同研究はそのための一歩だ。しかし両国政府が発表した日韓歴史共同研究委員会の報告書は、歴史評価を巡る対立をあぶり出し、相互理解が実際には容易でないことを示した。

学問的な分析にとどまらず、感情的な議論の展開も避けられなかった。古代史も含めての研究だが、日韓併合以降の関係が大きなわだかまりを生んでいるのだろう。日韓併合条約を、日本側は国際法上合法という。でも韓国側は手続き上の不備を理由に認めない。困難な作業だが、時間をかけて、なお根気よく対話を続けていくことだ。

80字】

歴史評価はウィスキー同様、時間の経過が必要だ。日韓の歴史共同研究で学問的、感情的な対立があぶりだされた。時間をかけ、今期よく対話を続けていくべきだ。

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2005年6月10日 (金曜日)

【春秋】2005年6月10日

春秋(6/10)

 人様に迷惑をかけるよりも、私がしばらく耐えて我慢すれば……。こんな日本的なメンタリティーが、飛行機でのエコノミー症候群のリスクを高めるといわれる。最近は、意識して時々席を立ち、トイレを待つ間に体操をする人も多い。

快適な旅の前提は健康。リスクは自分で回避しなければ。空港に着き、「日本人もさばけてきた」などと考えて、機内を出口に向かっていたら、食べこぼしや紙くずが席にも床にも散乱する無残な一画に出くわした。たしか日本語が飛び交っていたあたり。若者というより中高年、白髪の目立つご一行だった。

電車でも道端でも「家の中」感覚で食い散らかす若者ではなく、熟年のご乱行。正高信男さんが「ケータイを持ったサル」で紹介していた、異国人に囲まれて暮らす夫婦の言葉が、2人だけしか理解できないよう加速度的に特殊化していく話を思い出した。何でもありの仲間うちの特殊な倫理観が、機内で加速度的に広がったのだろうか。

市井の人々の見事な立ち居振る舞いと、街の清潔なたたずまいで、アジアを見下していた西洋人に衝撃を与えた日本。それが今や……。まさか、心のエコノミー症候群なんてと、さらに出口に進むと、ゆったりしたビジネスクラスの席にも、けっこうなごみの山。残した主はわからないが。

80字】

機内での健康管理をする日本人が増えたが、仲間うちの特殊な倫理観からか、家の中感覚で旅行する熟年も多い。心のエコノミー症候群なのか。

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2005年6月 7日 (火曜日)

【春秋】2005年6月7日

春秋(6/7)

 ルノワールの絵画「花かごを持つ女」と「婦人習作」の2点を31000万円という国内では2番目の高額で広島県の私立美術館が落札した。根強い印象派人気とともにバブル期にジャパンマネーが買いあさった名画の運命に思いが行く。

大昭和製紙(当時)の2代目オーナー、斉藤了英氏がゴッホの「ガシェ博士の肖像」を125億円という史上空前の金額で落札したのは15年前。「死んだら一緒に燃やしてほしい」という発言が世界から批判を浴びた。バブル崩壊で日本を離れたこれらの作品の多くは海外の個人所有に戻った例が少なくない。

▼1909
年冬、21歳の梅原龍三郎はイタリア国境から歩いて南仏カーニュに住むルノワールをようやく訪ねあてる。印象派の巨匠と無名の東洋の若者との出会いは、その後の日本人のあこがれと美意識をつくる出発点ともいえる。第一次大戦の後に世界的に高騰する印象派絵画はこの国では特別席を与えられた。

その時代の経済的なパワーに揺さぶられてきた名画は戦争や国際政治にも巻き込まれて流転を重ねた。国内の景気が回復するにつれて最近では海外に流出した作品が地方の美術館などに戻る例も少なくない。だぶつくマネーの投機で世界をさまよった名画に再会したいという美術ファンの願いはかなえられるのか。

80字】

バブル期に日本が大量購入した印象派名画は、その崩壊と共に日本を離れた。名画は時代のパワーで流転を重ねる。景気が回復してきた日本で、名画に再会できるのか。

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2005年6月 6日 (月曜日)

【春秋】2005年6月6日

春秋(6/6)

 平年なら今週が関東地方の梅雨入り。遅れ気味とはいえ雨傘の季節は間近だ。傘と縁の深い人物といえば、元英国首相チェンバレンが思い浮かぶ。1938年、ヒトラーとのミュンヘン会談に向け飛行機に乗る際も細い傘を握りしめ、「チェンバレン」は傘の代名詞にもなったという。

ただし往年の英国紳士にとっても傘の用途の多くはステッキ代わりだ。ドアを柄でノックし、タクシーを呼ぶ時に振り回すものの、少々の雨なら欧州では傘をささない。実用性や数の点では日本こそ傘大国だろう。年間の販売量は推計12000万本というから、全国民が毎年一本買う勘定だ。

やはり、というべきかその9割以上は中国製が占める。ほとんどが数百円台だ。それでもここ23年、一本数万円の高級傘が売れ出すなど、二極分化の傾向もある。一方で紫外線よけの日傘も女性の必需品となった。勢いづいた業界ではメンズ日傘も企画中というから、いずれ白(はく)せきの日本男児のパラソル姿が夏を彩るかもしれない。

アンブレラの語源はラテン語のオンブラ(影)。元は高位の者を日差しから守り、権威づけする小道具だった。傘がエリートのイメージと結びつくゆえんだが、美白ブームや安いビニール製がごちゃ混ぜとなった現代日本の傘文化に、紳士淑女の影は漂うだろうか。

80字】

「チェンバレン傘」に代表されるように、傘は権威付けの道具だった。傘大国日本では、傘の用途も広く、価格も二極化している。日本の傘文化に権威は付くのだろうか。

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2005年6月 3日 (金曜日)

【春秋】2005年6月3日

春秋(6/3)

 「人のにくがるもの。人喰犬(ひとくいいぬ)と有馬兵庫頭」と評された有馬氏倫(うじのり)は、加納久通とともに、徳川八代将軍吉宗の御用取次を長く務めた。「徳川実紀」は、彼らの権勢は老中を上回り政策決定に際して役人はまず2人に相談したと記している。

▼「享保の改革」を断行した吉宗は御三家の紀州藩主から幕府の主になった。改革派将軍には老中以下の幕府官僚機構は抵抗勢力と映ったはずだ。紀州時代からの2人の側近を“親政”の手足に使った。面白くない人々には、おおらかで思慮深かった加納に比べ「さえかしこく、かどかどしき所ある」有馬が一段と憎かった。

▼職員数17万人を超す巨大自治体にパラシュート降下した石原慎太郎都知事が、国会議員時代からの秘書で気心の知れた側近を副知事にしたのも似たような事情だろう。知事と職員の間に壁ができ、何事も「お手紙」でまず名代の意向を伺うようになる。その「専横」目に余り「人のにくがるもの」になったようだ。

▼開会中の東京都議会で浜渦(はまうず)武生副知事の問責決議が通った。週に2、3日しか登庁しないという石原知事の任命責任を都議諸氏はなぜかあまり問わなかった。自業自得か、詰め腹か、浜渦氏は来月辞任する。有馬は、といえば加納とともに1万石に加増され、大名の末席に連なったから、こちらは憎まれたかいがあった。

【80字】吉宗と共に紀州から来た側近は、憎まれつつ権力を持った。問責決議が通った副知事も似た境遇だ。知事にも任命責任があるが、副知事だけが辞任するのが吉宗時代と違う点か。

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2005年5月31日 (火曜日)

【春秋】2005年5月31日

春秋(5/31)

 「心は左に、財布は右に」。フランス人をとらえたそんな言葉がある。意識は進歩的だが実際の生活は保守的で経済原理に忠実であると。フランスの国民投票でEU憲法の批准が大差で否決され、欧州統合の今後の行方が問われている。

「強い欧州」へ向けた理想より、国民の多くは統合の拡大で雇用の場が奪われるなど、高い失業率を抱えた暮らしの不安の回避を選んだ。中東欧の10カ国が新たに加入して拡大EUが発足してから1年余り。1日のオランダなど、国民投票で批准反対のドミノ倒しが広がれば、欧州統合の求心力は大きく低下する。

第一次大戦後、疲弊した欧州の再興へ向けてウィーンなどの新聞紙上に「汎ヨーロッパ連合」の提案が発表された。提唱者は日本から嫁いだ青山光子を母に持つクーデンホーフ・カレルギー伯爵である。その運動の精神を引き継いで発足したEUで中核となったフランスの「ノン」は地域統合の難しさを象徴する。

日中関係がこじれ続けて「東アジア共同体」を巡る論議が空転するなかで、春暁ガス田開発を巡る両国の協議が北京で始まった。戦後、EUへの道を開いたのはザール・ルール地域の鉄と石炭の共同管理を通した独仏の和解だった。民族的な感情のせめぎ合いを超えて実務を通した共通の利益の追求を目指したい。

【80字】

EU発足の中核となったフランスでのEU憲法批准の否決は、地域統合の難しさを象徴する。「東アジア共同体」論議でも、民族感情を超えた共通の利益追求を目指したい。

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2005年5月27日 (金曜日)

【春秋】2005年5月27日

春秋(5/27)

 アイビールックをはやらせた石津謙介さんはオフィスウエアを日本の蒸し暑さから解放しようと腐心した仕掛け人でもあった。1961年に登場した半袖のホンコンシャツはこの人のアイデアという。大手合繊メーカーの競作となり、売れに売れた。

人気のゆえんは「ネクタイを締めても様になること」。若者ファッションの教祖も、職場におけるネクタイの呪縛(じゅばく)には抗しきれなかったのだろう。石油ショックの79年には大平首相自らモデルとなって「省エネルック」をPRしたが、こちらも半袖背広にネクタイ。デザインのせいか、モデルのせいか、売れ行きはさっぱりだった。

『スーツの神話』(中野香織著)によると、歴史上、男性の首もとの通気性がよかった例は無いそうだ。特にエリートは絶えず厚いひだ襟やレースなどで大事な首を保護してきた。大衆化が進みネクタイが実用性を失った今も、辛抱強さが美徳である社会では、首に下がる一片の細布をパスポートと見なしがちだ。

その「神話」にこの夏国会・官庁が本気で挑む。地球温暖化対策のため議員は6月以降、本会議以外ノーネクタイ、ノー上着も可。選良が流行をつくる時代はとっくに去ったが、今回はビジネスマンらの期待も強い。文字通り胸襟を開いて、実りある議論も、ぜひ。

80字】石津謙介氏のアイディアも省エネルックもネクタイの呪縛に抗しきれなかった。歴史的にも首は保護されてきたが、この夏の国会・本庁のノーネクタイには期待が高い。

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2005年5月24日 (火曜日)

【春秋】2005年5月24日

春秋(5/24)

 ベルツ博士といえば、明治の開化期にドイツから招かれたお雇い外国人の1人で日本に医学と保健思想を広めた人として知られる。海水浴と臨海学校の普及や薬用の「ベルツ水」の開発とともに、日本の温泉の効用を唱えた人でもある。

「草津には無比の温泉以外に、日本でも最良の空気と全く理想的な水がある」と『ベルツ日記』に記して広大な土地まで購入した。欧州のカルルスバードのような休息と健康増進を兼ねた温泉リゾートの構想が胸中にあったようだ。今日の温泉ブームは博士の夢とはかけはなれたその後の発展の結果のようである。

温泉の成分や加水の有無などの表示を旅館などに義務づけた「改正温泉法施行規則」がきょうから施行される。水道水による沸かし湯や入浴剤の使用で「温泉」としたりするなど、昨年全国で相次いで発覚した虚偽表示に対し自治体などが対応策を検討してきたが、表示方法などで足並みは必ずしも揃(そろ)っていない。

大都会では温浴施設がにぎわう一方、近隣諸国から温泉目当てで来日する観光客も多い。『日本鑛泉(こうせん)論』という著作まで残してベルツがその魅力をたたえた日本の温泉がまがいものの湯で信頼を損ねたのは何とも情けない。集客競争の果てのブランドの失墜という経験をかみしめてこの財産を大切にしてゆきたい。

【80字】

日本の温泉の魅力を説いたベルツ博士の夢は、今の温泉ブームとはかけ離れた。相次ぐ虚偽表示を受け、改正温泉施行規則が施行される。この経験を糧に温泉を大切にしたい。

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2005年5月23日 (月曜日)

【春秋】2005年5月23日

春秋(5/23)

 東京・有楽町にある日本外国特派員協会が今月計画していた新潟旅行をとりやめた。田中角栄元首相の生家訪問が目玉だったが、希望者が少なかったらしい。外国人記者が田中的なるものを日本の原点と感じた時代は過ぎたのだろうか。

田中首相が特派員協会で会見したのは19741022日だった。文芸春秋11月号の記事「田中角栄研究その金脈と人脈」に質問が集中し田中氏は「いろいろ言うことがあったが、雑誌のことばかりになって遺憾だ」と感想を述べて会場を去った。これを機に田中批判の流れが強まり退陣に追い込まれる。

▼93
年夏、初当選した1人娘の真紀子議員が会見した。「招待を受けるかどうか迷った」と父を意識してみせたが、中身は娘が父を否定する面白さに聞こえた。当時の細川連立政権を支えていた小沢一郎氏らかつて父親に連なっていた人たちに対しても容赦なかった。が、真紀子人気もいまは以前ほど勢いはない。

かつての田中軍団は見る影もない。新聞は旧橋本派と表記する。橋本龍太郎元首相が1億円献金事件で会長を辞め、後継者が決まらないからだ。日中国交正常化をした田中氏に発する人脈の政治的不在を昨今の日中関係の一因とする見方もあるが、田中政治の復活はあるのか。特派員たちの関心が低いのはわかる。

80字】

かつて特派員協会で会見した田中元首相や真紀子議員の人気は、今はない。橋本後の派閥後継者が決まらず、日中関係に政治的影響力を発揮できない現状では当然のことだ。

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2005年5月21日 (土曜日)

【春秋】2005年5月21日

春秋(5/21)

 英国東部の海岸でずぶぬれのタキシード姿の青年が保護された。身元を証すものがなく、病院でも一切口を閉ざしていたが、紙と鉛筆を渡すとグランドピアノを描き上げ、ピアノに向かうとチャイコフスキーなどの作品を延々演奏した。

「記憶も定かでない蛮族の古代から音楽は人類に魅入り、昼夜ひそかにその思いを凝らすよすがとなる」。中村紘子さんのそんな文章を思い起こした。欧州で話題を呼んでいる「沈黙のピアニスト」の報道は人々にさまざまな想像をかきたてるとともに、危機にひんした芸術家と音楽という表現の力を考えさせる。

ラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』は第一次大戦で右手を失った友人の依頼で作られたことで知られる。フィンランドを中心に活躍していたピアニストの舘野泉さんは3年前の冬、演奏中に脳溢血(のういっけつ)で倒れて右半身が不随となった。左手だけの演奏などしたくないという思いはリハビリの途中で転機を迎える。

戦争や交通事故、病気などでハンディを負った人のために書かれた作品は少なくない。音楽の豊かな情感は片手で弾くピアノでも変わらない。左手の演奏に向けた新たな作品も得て舘野さんは昨年、内外で演奏会を再開して復帰を果たした。そのCD『風のしるし』の繊細な音の向こうに「蛮族」の声が聞こえる。

80字】

ピアノを弾く身元不明の青年は、危機に瀕した芸術家と音楽の表現力について考えさせる。脳溢血を克服したピアニスト舘野さんの演奏にも、人類の音楽への思いが見える。

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2005年5月20日 (金曜日)

【春秋】2005年5月20日

春秋(5/20)

 ~杉野は何処(いずこ)杉野は居(い)ずや/呼べど答えずさがせど見えず…日露戦争で軍神となった「広瀬中佐」の歌は相当ご年配でないと知るまい。1936年に撮影した完成間もない建物の前には、戦後撤去した広瀬中佐と杉野兵曹長の銅像が写る。

▼そんな年代物の東京・神田の交通博物館が来年春に閉館することになった。鉄道ファンの街でもある秋葉原に近い地の利を生かして今でも年に35万人を集める。実物の電車運転台で模擬操縦をする人の目、国内最大の模型鉄道ジオラマを囲む目は、大人も子供も年寄りも皆輝いて見える。

▼先月、JR福知山線の大事故の時、以前に一般の人が、進行する電車の最前部で撮ったとおぼしきこの路線の宝塚―尼崎間のビデオ映像がすぐにテレビで流れた。実際の鉄道路線の景色映像を使う模擬運転テレビゲームも売れているし、鉄道ファンの多さ熱心さを改めて知った思いがする。

▼JR各社の首脳陣の多くがそうである旧国鉄のキャリア社員には、子供時分からの鉄道ファンが少なくないという。趣味と仕事が重なる幸運な人生を暗転させた事故は、地位が上がるうちに鉄道を愛する心を摩滅させた結果、起こしたのではないか。交通博物館は再来年、展示面積を倍にし、さいたま市に建て直す。JR西日本も大きく安全に再出発してほしい。

80字】

日露戦争にも縁があり、多くの鉄道ファンを集める交通博物館は、面積を倍にして移転される。社員に長年の鉄道ファンが多いJR西日本も安全の再出発をして欲しい。

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2005年5月19日 (木曜日)

【春秋】2005年5月19日

春秋(5/19)

 どんな技術が重要で、それはいつごろ実現するか。専門家へのアンケート調査で答えを絞り込んでゆく未来予測を、政府は1975年からほぼ5年おきに続けている。先ごろ発表した最新版の特徴は、防災関連技術の重要度が高いこと。

▼それによると、「M7以上の地震発生の切迫度(時と場所)を人的災害の軽減につながるよう高精度で予測する技術」が実現して社会に適用されるのは、2030年となっている。時間と場所と規模を特定した地震予知は、今から四半世紀もたたないと実用化しない難しい課題だと、専門家の多くが認めている。

▼もちろん専門家の予測がすべて当たるわけではない。技術分野によってはこれまで予測が大きく外れた例もある。が、地震予知は30年前から一貫して未来技術。知れば知るほど実用化は難しいらしく、実現時期は調査の度に先に延びてきた。なのに、政府は78年以来ずっと、この地震予知を、大規模地震対策特別措置法による東海地震対策の柱に据えている。

▼実現は25年も先だという技術を、同じ政府が現実的な大規模地震の防災政策の根拠にしている。何とも不思議。こんな矛盾だらけの法律や制度で、地震被害は減らせるのか。役所のメンツや一部の学者の都合よりも、優先すべきは住民の生命と財産ではないか。

80字】

場所と時間を特定した地震予知は難しいと専門家の多くが認めている。しかし政府は78年以降、これを東海地震対策の柱としている。役所のメンツなどより住民の生命と財産が優先だ。

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2005年5月17日 (火曜日)

【春秋】2005年5月17日

春秋(5/17)

 家電メーカーに勤める江分利(えぶり)満(まん)は35歳。妻子と郊外の社宅に住む。本給36000円、手取りで4万円で家計のやり繰りは厳しいが、家族との暮らしには満足している。「大過なく勤めたい。みんなのために」というのが本音である。

山口瞳さんの小説『江分利満氏の優雅な生活』が直木賞を受けた1963年は戦後の日本が消費社会の熱気を帯び始めたころである。社内の昇進や出世競争はあってもリストラや企業買収の影もないサラリーマンの生活は「気楽な稼業」と歌われた。横並びで安定した暮らしの象徴が変わったのはいつからだろう。

国税庁がまとめた2004年度分の高額納税者公示で46歳の投資顧問会社の運用部長がサラリーマンとしては初めて一位になった。納税額約37億円から推定される所得は100億円という。オフィスや家庭から漏れるため息が聞こえるようだ。職務発明への膨大な対価など、個人の能力が会社の眺めを変える。

「長者番付」の上位を占める顔ぶれは土地長者から健康・美容や消費者金融関連業者など、世相を映して主役を交代させてきた。今回はITや企業の合併・買収関連業界が目立つが、個人情報保護の観点から公示の見直しを求める声も少なくない。異能の「スーパーサラリーマン」が隠れ長者になる時代だろうか。

80字】

安定した暮らしの象徴であったサラリーマンから、今年の高額納税者第一位が現れた。個人の能力が会社の眺めを変える時代だ。長者番付公示の見直しで隠れ長者となるのか。

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2005年5月16日 (月曜日)

2005年5月16日

春秋(5/16)

 東京の都心、高速道路の下、少し薄暗い川のほとり、橋のたもとにある夏ミカンの木に、白い可憐(かれん)な花が咲いている。川は日の光を断たれて生気を失い、放水路と化したが、岸辺にはまだ、初夏の訪れを知らせる命が息づいている。

東京オリンピックに合わせて過密都市に大急ぎで高速道路を建設するには、川を埋め、川の上に高架を築くのが近道だったに違いない。ただ、光を奪われた川は活力も失う。光合成を行う生き物、植物プランクトンも水草も育たなければ、それを餌にする生物も生きられず、川の生態系が成立しないのだから、すぐ巨大なドブと化した。

かつて掘割と川の都市だった江戸から、水路と水辺が消えてしまった。スイスのチューリヒでは、地下に潜った川を地上に復活させたり、新しい川を町中につくったりして、河川生態系と水辺の景色の復活を進めている。東京でも、上を走る高速道路の付け替えが難しいなら、川の方を付け替えてはどうか。

都市に降り注いだ雨水と下水を、ひたすら素早く海に流すだけでは、川の名がすたるというもの。暗い川面に光を当てて命を吹き込むことは、洪水調節などの機能と矛盾しない。旺盛な青葉がつくる木下闇(こしたやみ)は季節の陰影、木漏れ日が命をはぐくむが、1年中暗い路下闇はただ不毛である。

80字】

東京の川が高速道路建設で生態系が崩壊しても、川岸には季節を知らせる花が咲いている。川の場所を変えて生態系と季節を感じる水辺の景色をとりもどしてはどうか。

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2005年5月15日 (日曜日)

【春秋】2005年5月15日

春秋(5/15)

人間の味覚には「甘さ」「酸っぱさ」「塩辛さ」「旨(うま)み」など5種類あるとされる。その中でもシェフの腕の見せどころは「苦み」の扱いだそうだ。匙(さじ)加減を間違えると一発で料理が台無しになる。上手に使えば味が格段に立体的になる。

▼バクテリアなどの単細胞生物は苦い物質から逃げようとする。毒として認知するためだ。子供も苦い食べ物に本能的に顔をしかめる。大人になるとビールや山菜、鮎(あゆ)の塩焼きが好きになるのが不思議だが、これは体験の積み重ねの成果らしい。幼少時に苦みを学ぶことで「おいしい」と感じる感性が豊かに発達する。

▼沖縄産の南国野菜「ゴーヤー」の苦みにも日本全国の消費者はすっかり慣れたようだ。健康ブームで流通網が広がり、この10年で県外への出荷が10倍に増えた。炒(いた)めものの「チャンプル」は家庭や飲み屋で定番メニューとなった。苦くて美味というだけでなく、大きな緑のイボイボは見ているだけで楽しくなる。

▼安室奈美恵さんをはじめ音楽や芸術でも沖縄から羽ばたく才能が日本の活力を支える。新鮮な個性の群れは、とかく同質性が強調されるこの国の社会に魅力を添える強力なスパイスだ。本土に復帰したのは33年前の5月15日。沖縄発の文化や味覚の舞台が広がったおかげで日本はずいぶん豊かな国になった。

【80字】

料理で扱いの難しい苦味は、その体験を積み重ね、美味と感じるようになる。その代表であるゴーヤなどの味覚や文化は33年前の今日本土復帰した沖縄から広がり、日本は豊かな国になった。

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2005年5月14日 (土曜日)

【春秋】2005年5月14日

春秋(5/14)

イラクで武装組織に拘束された斎藤昭彦さんは自衛隊に勤務したあと、フランスの外国人部隊に入って20年以上も各国の戦地で従軍していたという。高額の報酬、自分の可能性への挑戦。危険な仕事を選ばせた動機をあれこれ考える。

▼「五月病」という言葉が登場したのは高度成長の波が高まる1960年代の後半である。厳しい受験戦争をくぐり抜けた若者が、緑したたる大学のキャンパスで虚脱感のとりこになる。競争の果ての目標喪失で生まれたこの季節の心の空洞は、やがて社会人の仲間入りをした企業の新人たちにも及ぶようになった。

▼地上の生き物すべてが目まぐるしく成長する。日に日に移ろう窓外の眺めに追いつかない心の焦燥がこの季節病を育てたらしいが、それが影を潜めた代わりに最近では数年で職場を辞める「やめたい病」が若者に蔓延(まんえん)している。せっかく得た職場を簡単になげうって、フリーターなどに転じるのはなぜなのだろう。

▼会社への帰属意識や仕事への熱意に関する最近の米ギャラップ社の国際調査によると、「非常にある」と答えた人の割合が日本では9%。最高の29%を占めた米国をはじめ、14カ国中で最低だったという。終身雇用制度や総中流社会の揺らぎなど、社会の不安の反映でもあろうが、仕事への夢は失いたくない。

【80字】

「五月病」に代わり、最近では「やめたい病」が蔓延している。日本人の会社への帰属意識はとても低い。社会の不安の反映かもしれないが、仕事への夢は失いたくない。

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2005年5月13日 (金曜日)

【春秋】2005年5月13日

春秋(5/13)

エジプト考古庁が3300年以上も前に死んだ少年王ツタンカーメンのミイラをCTスキャンにかけたことは前にも触れた。そのデータをもとに少年王の顔が再現された。公開された画像を見ると、細面(ほそおもて)で目が大きくなかなかハンサムだ。

▼どこか似ている、と思ったのは以前ベルリンのエジプト博物館で見た王妃ネフェルティティの胸像だ。パリコレクションのモデルを思わせるような美女だった。彼女は少年王よりも前の王アメンホテプ四世の妃。夫の王は「世界最古」といわれる宗教改革や、テーベからアマルナへの遷都などの「改革」を断行した。

▼改革王と少年王の関係は、側室の子、異母弟、女婿など諸説あって定まらない。正妻ネフェルティティとの子と見る人もいる。それなら2人が似ていても不思議はない。改革への抵抗が強かったのか、少年王の治世に新都は放棄されて都はテーベに戻り、宗教改革もご破算になった。政治が揺れ動いた時代のようだ。

▼そのころエジプト王妃が北方の強国ヒッタイトの王に送った粘土板の書簡がトルコから出土している。「夫が死に私には息子がいない。王にするからあなたの王子を1人ください」と懇願する。書簡の主がどの妃なのかはっきりしない。歴史を包む謎のベールを一枚ずつはいでいく。少年王の容貌(ようぼう)再現もその作業だ。

80字】

少年王ツタンカーメンの顔が再現された。改革王の王妃フェルティティに似ている。両者の関係には諸説がある。少年王の顔の再現も揺れる時代の歴史の謎を解く作業のひとつだ。

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2005年5月12日 (木曜日)

【春秋】2005年5月12日

春秋(5/12)

イラクで武装勢力に拘束された斎藤昭彦さんが経歴から見て、戦闘のプロらしいということがわかり二重に驚かされた。フランスの外国人部隊から英国系の民間警備会社に移り、イラクで武装して命懸けの仕事についていた。

報酬を得て闘ういわゆる傭兵(ようへい)という職業は、かなり古い歴史がある。脚光を浴びたのは14世紀後半からのイタリアでの活躍である。ルネサンス期の都市国家は、財力にまかせて戦争をアウトソーシング(外注)にした。勢力を伸ばした傭兵は、時には雇い主の権力闘争にまで介入して混乱を巻き起こした。

フィレンツェの政治思想家マキアベリは、傭兵をイタリア没落の原因とみて目の敵にした。その著『君主論』の中で「傭兵が戦場におもむこうとするのは、ほんの一握りの給料が目あてで、ほかになんらの動機も、なんらの感情もない」(池田廉訳)とこき下ろしている。しかし視点を変えれば違う評価もできる。

彼らにとって戦闘はビジネスなので真剣にやらない。おかげで人的損害は少なくて済んだ。フランス革命以降、国民軍が中心になってから戦争は凄惨(せいさん)になった。ナショナリズムや狂信的なイデオロギーは抑えが利かない。イラクで跋扈(ばっこ)する武装勢力も困ったものである。斎藤さんの無事救出を切に祈る。

80字】イラクで拘束された斉藤さんの傭兵という職業に驚いた。歴史ある仕事である傭兵にとって戦闘はビジネスだが、イデオロギーでの戦闘は抑えが利かない。斉藤さんの無事を祈る。

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2005年5月11日 (水曜日)

【春秋】2005年5月11日

春秋(5/11)

「はづかしきもの 色このむ男の心の内」。『枕草子』で清少納言はそういっている。込み入った空間で見ず知らずの男女が共に過ごすのは一筋縄では行かない。満員の通勤電車の中で作法を誤れば痴漢の冤罪(えんざい)を着せられる時代である。

遅ればせながら、今週から関東の大手私鉄や地下鉄でも朝夕のラッシュ時に女性専用車両が導入された。「逆差別」といった批判もないわけではないが、男性の側からも誤解やぬれぎぬをなくすためには歓迎という声が多い。「色このむ男」の心を前提とすれば、男女のすみ分けは車内平和へ一つの選択肢だろう。

モスクワで開かれた対独戦勝60周年記念式典は、過去の歴史認識を通して国際社会という運命的な列車に乗り合わせた主要国の振る舞いが問われる場でもあった。ヤルタ会談の評価を巡る見解の対立など、お祭り気分に包まれた式典が「和解と協調」ばかりではない各国の立場を浮き彫りにしたことが印象深い。

式典に伴う米ロの首脳会談では、北朝鮮が核実験の強行をほのめかしていることに対する懸念が示された。暴力や犯罪をちらつかせる乗客との相乗りは避けたいのが人情だが、こればかりはほかの車両への避難では解決できない。粗暴な客を席に着かせて迷惑な振る舞いをやめさせることが共通の優先課題である。

80字】

男女をすみ分ける女性専用車両と違い国際社会という列車では、他の車両への非難では解決にならない。北朝鮮を席に着かせ、迷惑行為をやめさせることが優先課題だ。

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2005年5月10日 (火曜日)

【春秋】2005年5月10日

春秋(/10)

春の山は笑い、夏の山は滴るという。初夏の里では山よりも一足先に、薫風に揺れる緑がつややかに熟れて滴るようだ。微妙に色合いの異なる青葉・若葉が重なりあい盛り上がる場所を訪ねてみれば、そこは屋敷林か寺社林、というのが、郊外散歩の常である。

無残な開発の傷跡や、建設残土が積み上げられた休耕地のすぐわきに、その地域の自然な植生を色濃く映した林が奇跡的に保存されていることも少なくない。風景という資産を無造作に破壊してきたこの国に残った、貴重な自然遺産である。と同時に、その林の中には、地域のお宝、様々な文化遺産も眠っている。

滴る緑に誘われて訪れた千葉県野田市の郊外、清泰寺で見たのは、年に1度公開するという、すべて刺繍(ししゅう)で描かれた大きな釈迦涅槃(しゃかねはん)図だ。練り絹に金糸銀糸、あでやかな極彩色で縫い取られた刺繍が、お釈迦様の死を悼む弟子たちの表情や動物までを細やかに描いている。寛文5年(1665年)、近隣48カ村の寄進で求めたものという。

幅一間、縦一間半もの大きな巻物「練絹刺繍釈迦涅槃像」は、市の重要文化財だが、公開や保存はほぼ寺に託されている。自然遺産の寺社林や屋敷林も文化遺産も、受け継ぎ、引き継ぐ人の意志が保存の決め手だが、社会的な保存の仕組みが貧弱なのも確かだ。 

80字】

風景を無造作に破壊してきた日本で奇跡的に残った林の風景は、貴重な自然遺産だ。その林に残る文化遺産も含めた保存には、人々の意思と共に強固な社会的な仕組みが必要だ。

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2005年5月 8日 (日曜日)

【春秋】2005年5月8日

春秋(5/8)
万国博覧会の入場門になるはずだったそうだ。入場券まで刷り1940年に開催するつもりが夢幻と消えた「日本初の国際万博」という計画があった。その会場の東京・月島地区を、隅田川を跨(また)ぎ、築地と結ぶために勝鬨(かちどき)橋は造られた。

▼恨みの残る万博が愛知で開かれたのに合わせたか、勝鬨橋の資料を展示する施設が、橋のたもとに開館した。真ん中がハの字形に開く「東洋一の跳開(ちょうかい)橋」の雄姿は70年秋を最後にもう出現しないが、資料館で、橋体(きょうたい)が上がる昔の映像が見られる。橋体を動かす機械装置を見学する橋脚内ツアーも用意されている。

▼「両側の欄干の影も、次第に角度をゆがめて動いて来る。そうして鉄板が全く垂直になったとき、影も亦(また)静まった」。三島由紀夫は59年に発表した『鏡子の家』の冒頭でこの橋の跳開を描いた。そして、橋の動きに何事かを象徴させ「ゆくてには、はからずも大きな鉄の塀(へい)がたちふさがってしまった」と書いた。

▼勝鬨の上流にある両国橋を眺め、木下杢太郎は「遠く飛ぶ鳥の、夕鳥(ゆふどり)の影を見れば/なぜか心のみだるる。」と歌った。橋のようなありふれた物でも、じっと見れば様々なお話や思いが浮かぶ。大型連休が終わり、普段の生活に戻った後の休日には、そんな身近な物を再発見する「お出かけ」がお勧めかもしれない。 

【80字】

愛知万博の今年、幻の万博の入場門であった勝鬨橋の資料を展示する施設が開館した。ありふれた物もじっと見れば様々な再発見がある。大型連休後の休日にはお勧めである。

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2005年5月 7日 (土曜日)

【春秋】2005年5月7日

全国の報道機関で新人記者たちが仕事を始めた。「記者は現代史の目撃者、記録者」と胸膨らませて駆け出した日を思い出す。何がニュースかさっぱりわからなかった。先輩記者の指示通りの人々を訪ねて回り、指示通りの質問をした。

相手の答えを頭にたたき込み報告する。記者たちが取材した情報を集めて記事ができる。が、ニュースが目の前で発生する場合を除けば、何が本当に起こったのかを確認するのは難しい。1月に朝日新聞とNHKが激しく対立した問題もいまだに決着していない。1つひとつの歴史の真実の見極めは簡単ではない。

日米開戦の米側への通報の遅れは当時の在米大使館のミスとされた。責任者とされた外交官の子息である井口武夫氏は定説に疑問を抱き、研究を重ねる。米国のジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏は時に大統領夫妻の寝室の会話まで書く。取材力には舌を巻くが、検証できない会話の使用は邪道と批判もある。

紙に書かれた史料に頼る歴史家への批判か、小林秀雄の直感は「心を虚(むな)しくして思い出す事」を説く(『無常という事』)。歴史研究は事実の追求とともに解釈を探る作業でもある。起きたことはひとつでも解釈は様々にありうる。歴史の難しさは歴史の深さである。それに迫るのが取材であり、そこに面白さがある。 

【80字】

記者たちの取材情報を集めた記事が現代史の記録となるが、歴史の真実は見極め難い。起きたことは一つでも解釈は様々だ。取材の面白さは、歴史の深さに迫ることにある。 

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2005年5月 5日 (木曜日)

【春秋】2005年5月5日

春秋(5/5

連休の換算としたオフィス街の路上に、茶色い落ち葉が散っている。楠(くす)や椎(しい)など常緑樹では、春から初夏に、若葉に席を譲った古い葉が枯れてはらはらと降る。見かけは常緑を保ちながら、盛大に落葉する。「常磐木(ときわぎ)落ち葉」である。

ことし、55日のこどもの日は立夏と重なった。若い生命力の勢いを祝福するのに、夏の始まりのすがすがしい陽気はうってつけだ。少子化は気になるが、それだけしっかりと目配りをきかせて育てればいいと思ったりもする。個性だとか生きる力だとかいっているうちに、他への想像力を欠いた「自分探し族」が、増殖している。

解剖学者の養老孟司さんによると、教養とは知識の量ではなく、相手の気持ちがわかることだという。他人と共通の基盤にたって考える能力が教養で、その基盤に当たるのが、読み書き算盤(そろばん)、歴史認識などの「素養」ということになる。これらは、世の中で金を稼ぐ技能や技術ともまた違う。

日本社会での教養の衰退は、尼崎脱線事故でJR西日本幹部が見せた被害者・家族への対応で明らかだ。気持ちの理解どころか逆なでを続けた。反復練習をしないとなかなか身につかない素養も、ゆとり教育の中でかなり薄まっていると指摘されている。必要な素養を身につける教育を、詰め込みとは呼ばない。

80字】

少子化とともに他人への想像力を欠いた人が増えている。教養とは相手の気持ちがわかることだという。その基盤となる素養を身につける教育は、反復練習で徹底して行うしかない。

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2005年5月 2日 (月曜日)

【春秋】2005年5月2日

春秋(5/2)

今日52日はメと言ったら、「先週、終わったよ」と一かかりそうだ。85年前、日本で第一回のメが開かれたのは2日だった。最近、連合はエプリルの4月末に開いているが、本は「51日」である。

なぜ第一回を1れで開いたのかというと、その日が日曜日だったからだ。労働運動家の山健太の『社主義運動半生記』によれば、時、大工場はに日曜を休みにしていたので、労働者が加しやすい日が選ばれたという。東京の上野公園を場にして、15労働団体、約5000人が勢を上げた。

失業防止やストライキを禁じた治安警察法第一7の撤などのスロガンが時代を映している。社主義運動の色彩をめる労働組合に政府は力をかけけ、2.26事件があった1936年にメは禁止になった。後は1952年に警官隊と衝突して死者2人を出す事件もあったが今は平和そのもの。

▼4
月末に移したのはゴルデンウイクに連休を取りやすくするためである。組合行事よりレジャが優先するのも時代の流れだ。労働組合は労働者意識の化に配慮せざるを得ない。しかし祝日に合わせて一に休むから、いつも行地は混し費用もかさむ。本は有給休暇をもっと分散して取ればいいのだが。

80字】

本来のメーデーは51日であった。最近は平和な開催だが、開催日に日曜日や黄金週間を考慮するのは、労働者意識が変化しているためだ。祝日に一斉に休む弊害も調整が必要だ。

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2005年4月30日 (土曜日)

【春秋】2005年4月30日

春秋(4/30)

 日記風の文章をネットに書き綴(つづ)る個人のホームページを「ブログ」という。ウェブとログ(記録)を組み合わせた造語だ。自分の情報を日々せっせと発信する“ブロガー”がここ1年ほどで増殖し、国内で200万人を超えたそうだ。

▼たしかに調べ物で検索すると個人サイトが大量に引っかかる。「さっき出張から戻った」とか「村上龍の新作を読んだ」とか、たわいない内容にがっかりすることも多い。名前や素性は明かさないが、それでもボクやワタシの話を聞いてほしい自称評論家やタレントがパソコン画面の向こう側にひしめいている。

▼有名になりたいのか。自分に酔っているのか。書き込みに精を出す40代の男性に聞くと答えは意外だった。「誰も読んでくれなくていい」。何者かが自分を見ているという状態をつくり出す。そこで体験や思いを言葉にすれば自らを律することができ、仕事や生活に励みも生まれるという。

▼同じ構図をエルサレムの「嘆きの壁」で見たことがある。ユダヤ教徒は体を揺すりながら壁の「向こう側」に延々と語りかけていた。宗教の違いはあっても、自己と、自己を見守る超越者を言語でつなぐ行為が「祈り」だろう。情報化時代の神はネットの闇にも宿る。人を煽(あお)るのではなく、声を聞くだけの神であってほしい。

【80字】

ブロガーが200万人を突破したらしい。他人に見られている状況が自分を律するというブロガーもいる。「嘆きの壁」と同じ構図だが、ネットの神は声を聞くだけでいてほしい。

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2005年4月28日 (木曜日)

【春秋】2005年4月28日

春秋(4/28)

 歴史は繰り返す。最初は悲劇として、2度目は笑劇として。そんな意味のことをマルクスがどこかに書いていた。おなじみ「小泉劇場」の幕切れは、毎回ドタバタ喜劇の繰り返しだ。道路公団民営化も、三位一体改革も、郵政民営化でも。

「民間にできることは民間に。地方にできることは地方に」。そんな首相の独白で幕が開き、観客が固唾(かたず)をのんで見ていると、抵抗勢力とやらがドタドタと登場して舞台の台詞(せりふ)も聞き取れなくなってしまう。筋書きもあらばこそ、いったい何の芝居だったのだろう、とあぜんとするうちに拍子木が鳴り、幕が下りる。

このところの郵政民営化をめぐる自民党内の騒ぎは、道路公団民営化劇の再演を見せられているようだった。反対派の人たちの顔ぶれも毎度おなじみの派閥の面々が連なっている。この敵役(かたきやく)たちが往年の東映時代劇の悪役のような重厚さに欠け今時のコメディアン風なのも、ドタバタ喜劇に見える理由かもしれない。

どちらに転んでも、と思わぬでもない。だが、今秋に発足する道路関係4公団の後継民営化会社6社の経営トップすべてに民間企業出身者が起用されると聞くと、天下り官僚を頂く官製組織よりはましではと期待する。少しはまし――そんな国民の気分を、4年を経て4割台という内閣支持率が、映し出している。

80字】

小泉政権の政策は、毎回同じ顔ぶれが反対し、いつの間にか決着する繰返しだ。改革で官製組織より少しは良くなったとの国民の気分が、今だ高い内閣支持率を支えている。

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2005年4月27日 (水曜日)

【春秋】2005年4月27日

春秋(4/27)
 とっくに解散したはずの「国鉄一家」の呪縛(じゅばく)が、JR西日本の組織をいまだに支配しているのだろうか。福知山線の脱線事故では、前停車駅でのオーバーランを車掌が過小報告し、記者会見で同社幹部は、置き石の可能性を強調した。一家はとかく身内をかばう。

▼実際は40メートルのオーバーランが報告では5分の1の8メートル。同じ運転士が昨年6月に起こした100メートルのオーバーラン、実は500メートルだったかもしれない。JR西は脱線現場に急行した同社の調査陣がレール上で石が砕けた「粉砕痕」を見つけたと、いち早く発表した。急ブレーキのあとや、枕木の脱線痕を検討せず、置き石の可能性だけ伝えた。

▼脱線事故で原因と責任がきちんと特定されることは少ない。国鉄鶴見事故以来、脱線のパターンとして度々使われる「競合脱線」とは、台車や線路など複数の要因が競合して起きるというものだ。競合の具体的中身はその都度違う。責任の所在が見えないので、一家の傷は少ない。

▼地下鉄日比谷線の事故調査も、複合要因による「乗り上がり脱線」という玉虫色で終わった。カーブで左右の車輪にかかる重さの違い、輪重差の調整など、新しい技術的な課題は指摘されたが、結論は中途半端の感を否めない。徹底した捜査と調査で一家に踏み込まないと、真実は見えない。

【80字】

「粉砕痕」の発表でJRの身内をかばう国鉄体質が見えた。脱線事故で原因と責任が特定されることは少ない。徹底した捜査と調査でJRに踏み込まねば、真実を明確にできない。

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2005年4月26日 (火曜日)

【春秋】2005年4月26日

春秋(4/26)

朝のラッシュ時を過ぎて車内の乗客にはゆとりも漂っていただろう。線路に接した九階建てのマンションでは大型連休を控えて主婦や幼子の元気な声が響いている時間である。のどかな日常がこんな形で崩れるのを誰が想像しただろう。

脱線して放り出された車両がアメのようにひしゃげてマンションの建物に食い込んでいる。時間を追うごとに死傷者の数が増えていく。兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた脱線事故は、戦後の高度成長期の途上に相次いだ鉄道惨事を思わせる規模で被害を広げた。自動化と安全技術が進む鉄道に何があったのか。

民営化によって国鉄が生まれ変わって18年になる。乗客サービスと利便が向上し、年中行事だったストも姿を消した。世界に誇る新幹線技術を含めてJRは国営事業の民営化のモデルとされるが、一方で収益重視のせいか、ホームなどに人が減って安全や案内などで不安を覚えた経験を持つ人も少なくあるまい。

惨事の原因は未解明の部分が多いが、前の停車駅でのオーバーランで出した遅れを取り戻そうとした運転士が事故現場のカーブで大幅に速度を上げたという乗客の証言がある。効率を重視したステンレスの軽量車両と脱線の関係を指摘する声もある。日本が誇ってきたシステムと人材への信頼が問われている。

80字】

JRは民営化のモデルとされる。自動化と安全技術が進むなか、収益重視で安全や案内に不安がある。原因は未解明だが、日本が誇るシステムと人材への信頼が問われている。

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2005年4月25日 (月曜日)

【春秋】2005年4月25日

春秋(4/25

首相官邸のホームページにある「内閣総理大臣一覧」に歴代首相の在職日数が載っている。初代の伊藤博文から森喜朗前首相まで55人のOBで、4年を超えて在職したのは6人しかいない。あす5年目に入る小泉純一郎首相が7人目。

改めて日本は長期政権が珍しい国だと思うが、年代順にあげれば伊藤博文、桂太郎、吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘の6氏。その現役の時期に歴史年表を重ねてみると伊藤の2度目は日清戦争、桂は日露戦争時の首相だった。吉田は戦後復興の道をつけ、弟子の池田、佐藤は踵(きびす)を接して高度成長を担った。

明治と戦後の、国勢が上向きだった時期が長期政権とダブるのは偶然だろうか。不況に苦しみ戦争への道をたどった昭和の前期は首相が頻繁に代わり、大方がバブル崩壊後の「失われた10年」に重なる平成も、小泉氏の前に10人も首相がいた。政権がくるくる代わった時期は、日本にとって幸福な季節とはいえない。

中曽根、小泉両政権の共通項は「改革」だろうか。中曽根首相は国鉄や電電公社の民営化などを手がけ行政改革に実績をあげた。小泉首相も評価は散々だが道路4公団民営化を具体化し、次いで郵政事業民営化に取り組み今週、法案の国会提出のヤマ場を迎える。政権のピリオドの位置もその成否にかかってきた。

80字】

4年を超えて在職した首相は、明日5年目となる小泉首相で7人目である。国政が上向くと長期政権が多いようだ。小泉政権の終焉時期は、郵政民営化の成否にかかっている。

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2005年4月24日 (日曜日)

【春秋】2005年4月16日

春秋(4/24)
 小泉純一郎首相はバンドンの地でアジア・アフリカ諸国との連帯をかみしめるだろう。これらのなかに1960年代には国造りのモデルとされ、世界三位のコメ輸出国でもあったのに、いま人々が飢えに苦しむ国がある。カンボジアだ。

▼この国にサム・レンシー氏(56)という政治家がいる。野党サム・レンシー党の党首である。与党党首らの名誉を棄損したとして刑事訴追の免責特権を奪われた。国外に逃れて祖国の腐敗を批判する。レンシー氏によれば母国は60年代当時とは様変わりし、いまやアフガニスタンに次ぐ貧困国にまで落ち込んだ。

▼レンシー氏は典型的な途上国エリートである。副首相、駐英大使を務めた父を持ち、自身もフランスで教育を受けた。夫人は初代駐日大使の娘で東京・赤坂で育ち、中央銀行副総裁も務めたカンボジア版のパワーカップルだ。国際経験ゆえにか母国の資源配分のあり方に疑問を持ち、国内の権力者たちと衝突した。

▼似た話は少なくない。後に韓国大統領になった金大中氏も一時は国外での活動を強いられた。ミャンマーのアウン・サン・スー・チー氏は祖国に戻り、唇かみしめる毎日だ。レンシー氏に欧米諸国は同情的だ。12年前の5月にカンボジア総選挙に大騒ぎした日本でいまレンシー氏の苦境を知る人はなぜか少ない。

【80字】
AA会議で連帯するカンボジアの政治家サム・レンシーは、途上国エリートだが、祖国の腐敗を批判し権力者と衝突し国外に逃れている。彼に欧米は同情的だが、日本では無名だ。

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2005年4月23日 (土曜日)

【春秋】2005年4月23日

春秋

(4/23)

 「ハロー ハロー バンドン プリアンガンの都」。ジャカルタの街で靴磨きの少年が口ずさんでいるのが、オランダ占領下にインドネシア独立を求めて歌い継がれた国民歌と知って心を動かされた。はるか二昔以上も前のことである。

苦難の建国の記憶を伝える高原の古都バンドンで、日本を含めたアジア・アフリカ29カ国の政府代表が集まって初の国際会議を開いたのが半世紀前の4月だった。インドのネール首相、インドネシアのスカルノ大統領、中国の周恩来首相など20世紀を代表する指導者たちが、植民地主義の打破と協力を誓う。

平和や内政不干渉をうたった「バンドン精神」は冷戦の荒波に揺さぶられながら、アジア・アフリカの協調と連帯をすすめる原点とされてきた。それから半世紀を記念して開かれたAA会議は反日デモの過熱で高まる日中の緊張を抱えてざわめきに包まれている。アジアの二大国の摩擦は会議の足元を不安にする。

日本経済の影響力の大きさに刺激されて愛国主義が過熱するという経験はインドネシアでもあった。少年から「ハロー バンドン」の歌を聴いたころにしばしば起きた反日暴動は東南アジア各地から姿を消した。政治の糸が絡んだ中国の反日の構図はさらに複雑だが、ここは首脳間の「東洋的英知」に期待したい。

80字】

植民地主義の打破と協力を誓ったバンドン会議から半世紀を記念して開かれたAA会議は、日中両国の摩擦でざわめいている。首脳同士の「東洋の英知」で解決してほしい。

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2005年4月21日 (木曜日)

夏スクーリング(夏スク)対策

慶應のカリキュラムは、英語とともに始まり、英語とともに終わるのかもしれない。

先日大学から、2005年夏スクーリングの要綱が来た。さぁ、語学2単位をとって、経済学に専念するぞ!と思いきや…。『英語にはリーディングとライティングがあって、それぞれ別の期間にとらなくてはならない』

なんだって?違う期間って、ひとつの期間が一週間である。サラリーマン1000マイルとしては、それだけでも休むのが一苦労なのに!『リーディングとライティングで2単位です』とある。

これは『想定外』であった。。。さっそく計画の練り直し。

夏スクのために二週間も休めない。つまり、この夏スクだけで英語2単位を取得することはできない。ではどうするか。

(方法1)放送英語を1年間聞き、試験を受けて取得する。

(方法2)今年の夏スクでリーディング(1単位)、来年の夏スクでライティング(1単位)をとる。

(方法3)今年の夏スクで1単位、秋から始まる夜間スクーリングで1単位とる。

(方法4)秋から始まる夜間スクーリングで2単位をとる。

ざっと、こんな方法がある。(方法1)は、4月から開始だから、来年度の話だ。卒業前まで英語をやることになる。「専門に専念したい」1000マイルとしては、(方法3)か(方法4)または(方法2)でとることになる。「専門科目専念度」は、(方法2)が高いか…。

1000マイル、お悩み中である。

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「春秋」2005年4月21日

春秋(4/21)

20日に100歳で亡くなった作家の丹羽文雄さんは、小紙の朝刊に合計5つの小説を連載している。19554月に始まった「飢える魂」、57年には「禁猟区」、62年の「悔いなき煩悩」、70年の「白い椅子」と続き、最近の連載が78年の「山肌」である。

丹羽さんは小説で奔放に生きる女性を描くことが多かった。幼時に家を出た生母への屈折した思いが、その背景にあるとされる。愛欲と倫理、煩悩と宗教の葛藤を、感情移入を抑えて突き放して描く丹羽文学。それは、嫌悪感をのみ込んで、現実を受け入れる、仏教的寛容だとも評される。

後進の作家を育て、その冒険的な試みを支援し、ゴルフでも丹羽学校に作家・文化人が集った。これも丹羽さんの人格の寛容による。ただ、厳格な倫理基準を譲らない場面もあった。小説「太陽の季節」(石原慎太郎作)の芥川賞授賞に、「美的節度の不足」や「風俗小説」を理由に、佐藤春夫、丹羽文雄の2審査委員は強く反対した。

前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、歴史的対立には大いなる寛容で臨み、平和を育てた。その一方で、中絶や同性愛については、伝統的な教義を曲げなかった。本来、寛容と厳格は「対」なのかもしれない。厳格抜きの寛容と、寛容なき厳格がすれ違っている隣国関係は、修復が急務だ。

80字】

丹羽文雄や前ローマ法王は、寛容な面を持ちながら、厳格な部分があった。寛容と厳格は、「対」かもしれない。その一方づつしか持てず、すれ違う隣国関係は、修復が急務だ。

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2005年4月19日 (火曜日)

【春秋】2005年4月19日

春秋(4/19)

 『覇王別姫』などで知られる映画監督の陳凱歌さんは文化大革命のさなか、父を「右派」として糾弾する紅衛兵に加わった。自身も「下放」と呼ばれる辺境の労働で過酷な青春時代を送っている。「造反有理」がすべてを支配していた。

内部の敵に向けて「憎悪をタイマツのように人から人へ手渡す」(『私の紅衛兵時代』)という民衆の激情が今度は「愛国無罪」の合言葉の下で「日本」に向けられた。著しい経済発展の途上にあっても外からの情報を抑圧した中国社会は仮想の「敵」を必要とする。そのための愛国教育が愚かしい暴力を生んだ。

教育はそのありようで若者をどのように導くこともできる。それを実際の教室の授業で身をもって示したのが、98歳で亡くなった大村はまさんである。国語教師として教壇に立った半世紀の間に新聞・雑誌など教科書以外の多様な教材を使ったが、本紙連載の『私の履歴書』が作文教育の重要な素材とされた。

生徒が「履歴書」を作文にする。さまざまな人物の履歴書を読んで自分の視点で構成する。広告の一節からも言葉と社会のきずなを学ばせた。子供の「個性」にまかせるのでなく、高所から社会や歴史を教えるのとも違った。戦争中の教室で生徒が一斉に1000人針を縫う風景への疑問が「大村教室」の出発点だった。

80字】

中国では、時代ごとの愛国教育が暴力を生んだ。教育は若者をどのようにも導ける。亡くなった国語教師の大村はまさんは、高所から教えず、個性に任せない教育を実践した。

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2005年4月18日 (月曜日)

【春秋】2005年4月18日

春秋

(4/18)

 この4月末に封切られるドキュメンタリー映画「ベアテの贈りもの」はGHQ職員として日本国憲法の草案づくりに加わった米国人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさんの話だ。女性の人権や男女の平等などをうたった条文は、この人の尽力のたまものといえる。

父はロシア出身のピアニスト、レオ・シロタ。日本で教育・演奏活動を行う父と共に5歳で来日、東京で育った。戦後、憲法起草に携わったのは22歳の時だ。憲法の専門家ではなかったが、少女期に見聞きした妻妾(さいしょう)同居などの現実から、日本女性の地位向上の必要性は痛感していた。

そのベアテさんに話を聞いたことがある。特に歯ぎしりしていたのは、自ら書いた条文案の多くが「むしろ民法で規定すべし」とGHQ内で削除されたことだ。幻の一例が「嫡出でない子供は法的に差別を受けず、法的に認められた子供同様に機会を与えられる」。

戦後60年の今、民法では依然、非嫡出子は相続で不利な状況を強いられる。戸籍の続き柄の記載が嫡出子と同じになったのは、やっと昨年のことだ。先週には、両親が法律上の夫婦かどうかで子供の国籍取得が区別される国籍法の規定を違憲とする判決が東京地裁であった。空気は変わりつつあるが、歩みは遅い。ベアテさんの歯ぎしりする姿が、よみがえる。

【80字】

ベアテ夫妻は憲法起草の際に女性の地位向上に尽力した。GHQで削除されたものも多く、例えば非嫡出子は現在も相続面で不利なままだ。歩みの遅さに夫妻も歯がゆいだろう。

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2005年4月16日 (土曜日)

【春秋】2005年4月16日

春秋(4/16)

 東京の都心では散り行く桜の花びらの向こうに新緑をたたえた若葉がまぶしい。ぎこちなかったオフィス街の新人たちの真新しいスーツも心なしかなじんできたように見える。シニア世代は自分の新人時代を重ねて感慨を覚えるだろう。

スーツとネクタイは職業人として社会に仲間入りする現代の通過儀礼の象徴ともいえる。その常識に挑戦したのがニッポン放送の買収で脚光を浴びるホリエモン。Tシャツにジャケットでスーツ族と渡り合う姿は、IT業界から既得権益の壁に立ち向かうビジネス戦争の若い戦士というイメージを十分かきたてた。

ラフな服装で公の場にのぞむ32歳に不快感を隠さない声も産業界に少なくなかったが、ノーネクタイの「六本木ヒルズ風」は権威におもねない新世代が生んだ新たなオフィス風俗だろう。もしネクタイ派をしのぐ勢いになれば日本の企業社会の眺めも一変する。

職場のスーツを巡る情けない事件も起きた。大阪市職員への過剰な福利厚生支出で明るみに出たスーツの支給で、国税当局がこれを「給与」と認めた。源泉徴収漏れの総額は約3億円にのぼる。私服を「制服」という名目にして税金で賄おうというのは品のない心根であり、裏切りである。職場の服装は「仕事」に向き合う個人と組織の鏡であることを忘れまい。

80字】

従来スーツとネクタイは社会人の象徴だが、ノーネクタイのオフィス風俗も生まれた。大阪市のスーツ支給のような品のない行為もある。職場の服装は、仕事への姿勢でもある。

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2005年4月15日 (金曜日)

【春秋】2005年4月15日

春秋(4/15)

 知的財産を縮めて「知財」、耳慣れぬ略語が市民権を得たのはごく最近だが1日には知財高裁(知的財産高等裁判所)も発足した。だれもが知っている知財を一つあげれば特許権だろう。日本に特許制度が導入されて今年で120年になる。

▼4
18日の「発明の日」は1885年(明治18年)のこの日に公布された専売特許条例にちなんでいる。外国の制度を詳しく調べ、条例づくりに携わり、専売特許所(特許庁の前身)の初代所長に就任したのが高橋是清。後に首相や蔵相を歴任して二・二六事件の犠牲となったが、日本の特許制度の生みの親だ。

特許第一号は同年8月に東京府の堀田瑞松(みずまつ)が考案した「堀田式錆止(さびど)め塗料及びその塗法」におりている。特許庁が保存する書類には、成分に漆(うるし)、鉛丹(えんたん)、生姜(しょうが)、柿渋(かきしぶ)などが見える。その6年後には豊田佐吉が木製人力織機で、さらに5年後に御木本幸吉が養殖真珠で特許を得て、ようやく近代的発明らしくなってきた。

東京・霞が関の特許庁のロビーには、2人のほか、アドレナリンの高峰譲吉、ビタミンB1の鈴木梅太郎ら日本の知財の礎(いしずえ)を築いた「十大発明家」のレリーフが飾られている。以下は蛇足。特許と言えば早口言葉の「東京特許許可局」を思い浮かべる人がいそうだ。そんな名の役所は、昔も今も存在したことがない。

80字】

最近市民権を得た知財のひとつに特許権がある。特許制度の生みの親は高橋是清であり、特許第一号は錆止めの考案であった。特許庁には、「十大発明家のレリーフ」がある。

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2005年4月14日 (木曜日)

【春秋】2005年4月14日

春秋(4/14)

 知人から、娘さんが車を買うのに付き合って、面白い経験をしたという話を、聞いた。お目当ての車は大同小異だが、訪ねた3軒のディーラーの対応はずいぶん違っていたそうだ。それが選択の決め手になったというから販売は重要だ。

1軒目の営業マンは丁寧すぎるほど詳しく説明し「値段も精いっぱい勉強します」と熱心だった。2軒目は、値引きについては社内資料を見せて「これが限界です」と、何事もビジネスライクに応じたそうだ。最後の店には娘さんと奥さんが行き、帰ってくるなり「売る気があるのかしら」と怒ったという。

まともに相手にしてくれず、「女だけで行ったからバカにされた」と奥さんはぷりぷり。利幅の薄い小型車なので力が入らなかったのかもしれない。娘さんは「いちばん感じが良かった」最初の店で買うことにした。自動車販売店は激しい販売競争の中で接客法を日々改善しているはずなのに、意外な話である。

米国の繁盛する洋服店の経営者ジャック・ミッチェルさんが書いた『94%の顧客が「大満足」と言ってくれる私の究極のサービス』(小川敏子訳)の原題は「お客様をハグしなさい」。直訳すれば「抱きしめなさい」だが、真心で顧客の心をつかめという意味である。モノを売る仕事は実際には奥が深くて難しい。

80字】

ジャック・ミッチェル著の『94%の顧客が「大満足」と言ってくれる私の究極のサービス』には、「真心で顧客の心をつかみなさい」とある。実際に物を売る仕事は、奥が深くて難しいものだ。

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2005年4月13日 (水曜日)

【春秋】2005年4月13日

春秋(4/13)


 花冷えの雨が路上の花びらをぬらし、新芽の萌黄(もえぎ)や若緑が、湿った黒い土に映える。北国では、雪や氷の下からのぞく真っ黒い土と黄緑の芽が遅い春を告げる。若芽、若葉の引き立て役だったその黒土が、京都議定書の発効でにわかに研究者の注目の的に……。

▼地球温暖化の原因になる炭素を、地上でたくさんため込んでいるのは森林と、誰もが答えるに違いない。たしかに樹木は光合成で大気中の炭素をドンドン取り込み、幹や枝に貯蔵する。しかし、地上のあらゆる植物、農作物、牧草から樹木までを合計した値の3倍が土の中に、有機物として埋まっている。

▼それを農耕や牧畜で消費して、先史時代に比べると4分の3に減ったという(「土壌圏と地球温暖化」木村真人、波多野隆介編)。減少分は産業革命から1990年までに消費した化石燃料の2倍に当たる。今は安定しているこの巨大な貯蔵庫が、炭素の大量放出に転じたら、温暖化防止計画などふっ飛んでしまう。

▼逆に、土壌が活発に炭素をため込み出せば、温暖化対策はずいぶんと余裕が出てくる。今、CO2の排出量が世界で1、2位の米国と中国が、削減義務の枠外にいる。そのねじれ解消にも、土壌管理という新しいカードは使える。京都議定書の先をにらんで、研究者は足元の土に目を向けた。

【80字】

地球温暖化の原因になる炭素を、最も貯蔵しているのは土壌である。土壌での蓄積が温暖化対策で重要である。CO2削減義務のない米中も、土壌管理には参加できるかもしれない。

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2005年4月11日 (月曜日)

【春秋】2005年4月10日

春秋(4/10)

 小泉純一郎首相が新宿御苑の「桜を見る会」で芭蕉の句を引いた。「さまざまのこと思ひ出す桜かな」。で、思い出したが細川護熙首相の退陣表明が11年前の桜のころだった。非自民政権は短命で、自民党の下野は1年に満たなかった。

結党50年、人間なら「知命」だが万年与党は郵政で天命を知りかね右往左往。前にも小欄で触れたが、携帯、電子メール、ファクスと情報伝達手段が多様化するのに紙に書かれたメッセージを人が運ぶのだけは国営という論拠は薄い。国が巨大金融事業を営むのも国民に巨大なリスクを背負わせることではないか。

民営化反対で凝り固まる人たち相手に「よりよい民営化」を議論するのは変な話だ。妥協するほど本来の民営化の姿から遠ざかる。「郵政よりもっと大事な課題がある」と言う人もいるが、郵政すら処理できないで、より大事な問題が簡単に片づくのだろうか。反対派は小泉政権の足を引っ張っているつもりだろう。

延々続くコップの中の嵐を見せられる国民は自民党そのものの政権担当能力への疑問符を膨らませているのではないか。「怖いのははずみ」と、党幹部が偶発解散の可能性をにおわせ牽制(けんせい)したとかしないとか。田舎芝居の観衆は「はずみ」も歓迎かもしれない。「歳々年々、人同じからず」というが、政権党もまた。

80字】

郵便を国営とする論拠は薄いが、反対派は政権の足を引っ張っているつもりだろうか。国会解散の可能性もある。11年前同様、非自民政権もまたあるかもしれない。

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【春秋】2005年4月11日

春秋(4/11)

 「春は残酷な季節」は英詩人T・S・エリオットの『荒地』冒頭にある「4月は最も非情な月」を意訳したものだ。詩人は「死んだ土地からリラを茂らせ、記憶と欲望をかき交ぜ……」つまり忘れたものを蘇(よみがえ)らせるから非情だ、と歌う。

▼日本でこの詩句が愛されるのは、元の詩には込められていない寓意(ぐうい)を我々が読みとるからではないか。日本の社会で春は、何より入試、卒業、就職、異動の季節で、そこには、運不運や喜び悲しみがつきまとい、時に人にとって残酷であるという痛い真実を示していると解釈するのだろう。

▼黒か濃灰色のスーツに男はネクタイ、女は飾りのない白ブラウス。一目で分かる就職活動の大学生が、来年春の入社を目指して、結構険しい眼指(まなざし)でオフィス街を走り回っている。大どころの企業では今が面接試験の盛りだ。学生の訪問を受け付け中の会社もまだ多い。

▼日本経団連の機関紙で某大手企業採用担当者の文章を読んだ。「なにはともあれ熱心さ」「自分の弱みを知ろう」等々、面接の心得を説きながら「この季節、私たちも働く意味と自分の存在意義を問い直さざるを得ず、緊張する」と書いてあった。ここにも辛(つら)い春が覗(のぞ)く。しかし春は残酷なばかりではない、と当たり前のことも思い出したい。〈春風や闘志いだきて丘に立つ〉高浜虚子

【80字】

春は、運不運や喜び悲しみがつきまとい、残酷な季節である。就職活動の学生も、企業の採用担当者も緊張する。しかし当然ながら、春は残酷なばかりではないことも思い出したい。

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2005年4月 9日 (土曜日)

【春秋】2005年4月9日

春秋(4/9)

 一面に菜の花が咲ききわまった山道を越えて入った村は満開の桃の花に包まれて眠っているようだ。車をすすめると今度は深紅のツツジに覆われた山野が広がった。「桃源郷」の言葉を生んだ中国・武陵の山間の旅の記憶がよみがえる。

「芳(かぐわ)しき草は鮮やかに美しく、落つる英(はなびら)は繽紛(ひんぷん)たり」。陶淵明の『桃花源記』の主人公は舟の上でまどろむうちに、岸辺に桃の花が咲き乱れる見知らぬ仙境に迷い込む。満開の桜の向こうに白いハナミズキの花が揺れる爛漫(らんまん)の眺めに引き込まれると、こんな東洋的な理想郷がどこかに実在するようにも思えてくる。

桜前線が北上して、満開になった東京などの花の名所ではこの週末、花見客のにぎわいが続いている。ひところのような職場をあげた鳴り物入りの宴が減ったのは企業社会を取り巻くきずなの変化の反映だろうが、老若がそろって、それぞれ散ってゆく桜に心の風景を重ねてみるのは王朝時代からの国民性だろう。

▼35
年前、日本の再発見に向けた「ディスカバー・ジャパン」の広告を手がけた藤岡和賀夫さんが「残したい日本の風景」のキャンペーンに取り組む。里山や散居村など絶滅のおそれのある日本の原風景を紹介していくという。「年年歳歳、花相似たり」というが、花の咲く舞台は確実に移ろい、失われていく。

80字】

桃源郷の風景は、どこかに実在するようにも思える。桜には、時代を超えて老若が心の風景を重ねてきた。しかし、花の咲く舞台は確実に移ろい、失われている。

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2005年4月 8日 (金曜日)

【春秋】2005年4月7日

春秋(4/8)
 東京駐在の外交官のなかに「日本語を話せる大使の会」という集まりがある。1990年代にできた。結成時の会員は10人だった。最盛期は13人に増えたが、日本経済の「失われた10年」の影響かどうか、いまは8人に減った。

▼会の中心的存在はスーダンのムーサ大使だ。1970年、日本への留学生第1号としてやってきた。早稲田の大学院で建築学を学んだ。恩師の吉阪隆正教授は見事なひげでも知られた建築家でフランス語、英語を話す当時は珍しい国際派早稲田人だった。大使は「日本語で話すと若返る」と学生時代を懐かしむ。

▼30年以上にわたる蓄積のせいか、日本語に対する理解は深い。「予言と預言は意味が違う」と漢字の効用を説く。神の言葉を預かる「預言」がさらりと出るのが預言者ムハンマドを敬う人らしい。スーダンは北部のイスラム教徒系政権と南部の黒人系キリスト教徒との内戦が1月に終わり、和平協定ができた。

▼21年間にわたる南北内戦は200万人以上が死亡する悲劇だった。国連安保理は平和維持活動(PKO)派遣を決議した。日本にも要請がある。「日本は島じゃない。日本人は世界中にいる」「日本もスーダンの石油を買っている」などと巧みな日本語で話されると、日本に何ができるか考えさせられる。


【80字】
スーダンは、長年の南北内戦が終わり、今年和平協定が結ばれた。ムーサ駐日大使は30年来の流暢な日本語で、平和維持を要請する。日本に何ができるのか、考えさせられる。

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2005年4月 7日 (木曜日)

【春秋】2005年4月7日

春秋(4/7)
 ルネサンスの巨匠ミケランジェロの作品にブルータスの胸像がある。「ブルータス、お前もか」で知られるカエサルを暗殺した男。フィレンツェの美術館にある像の意志の強そうな精悍(せいかん)な面構えに、暗殺者への作者の深い思い入れを見た。

▼巨匠は彼を英雄として刻んだ。そこには自身の政治的体験が投影する。都市国家フィレンツェの支配者だったメディチ家を追放する市民の革命が起きた際、彼もかつてのパトロンに弓を引きメディチ軍に対抗する防衛司令官を務めた。独裁者を倒し古代ローマの共和制を守ろうとした男に感情移入して不思議はない。

▼だが、巨匠の見方がすべてではない。領土が急拡大した当時のローマの統治は元老院の手に余るようになっていて、カエサルこそ帝政移行という時代の要請を先取りした先駆者であった。ブルータスは歴史の潮流を読み損ねた。そんな見方もある。2000年あまり前の暗殺事件でも、後世の評価はなかなか収束しない。

▼同じ歴史的事実も見る者の目に応じて様々な像を結ぶ。歴史認識とはそういうものではないか。日本の教科書検定をめぐって近隣から「憂慮」や「憤慨」が伝えられた。逆説的に言えば、誤った歴史認識があるとすれば普遍的な唯一の正しい歴史認識があり得るという考え自体ではないか。そこに気づいてほしい。


【80字】
2000年ほど前にカエサルを暗殺したブルータスへの評価も、ひとつではない。日本の教科書検定に危惧する声があるが、歴史認識に普遍的で唯一なものはないのではないか。

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2005年4月 6日 (水曜日)

【春秋】2005年4月6日

春秋(4/6)
 外資恐怖症が流行の兆しを見せている。企業買収への備えを欠いたままだと、日本企業は巨大な外資にのみ込まれてしまう。そんな意見が経済界や政界からにわかに出始めている。俗耳に入りやすいが、心配しすぎではないのか。

▼米国でも、バブル経済を背景に日本企業が不動産や映画会社などを買いまくったときに、警戒する声が噴出した。外国資本を怖がるのは日本だけではないが、昔から根強い。資本自由化の際にも大騒ぎになった。当時経団連会長だった石坂泰三さんは筋金入りの自由主義者で、反対論者を辛らつに批判した。

▼欧米に肩を並べる実力を蓄えた産業が、いつまでも国の保護政策を求めるのは、「一種の独善でもあれば、世間知らずでもある」と著書の『勇気あることば』で述べている。「徳川300年の鎖国時代の夢を見ているのでは、ほんとうに情けなく思う」(同)。これが競争で鍛えられた経営者の気概というものだろう。

▼石坂さんは戦後、請われて労働争議で荒れる東芝の社長に就任し、体を張って再建を達成した。経団連会長の後、日本万国博覧会協会会長を引き受け、大阪万博を成功させた。万博の運営費を銀行から前借するときに個人保証もしたと言われている。草葉の陰から石坂さんは、今の日本をどう見ているだろうか。

【80字】
外資による企業買収を恐れる必要はない。資本自由化を推進した自由主義者の石坂泰三は、反対派を辛らつに批判した。外資恐怖症の現在の日本を、彼はどう見るのだろうか。

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2005年4月 5日 (火曜日)

【春秋】2005年4月5日

春秋(4/5)
 日本から3年の歳月をかけた困難な旅を終えてローマへたどりついた若者たちがバチカンの宮殿でローマ法王グレゴリウス13世に謁見(えっけん)したのは1585年3月である。東洋から来た天正少年使節の一行は各地で熱狂的な歓待を受けた。

▼感激に涙を流した83歳の法王はほどなく亡くなる。葬儀に参列した伊東マンショらの少年使節はその後の「コンクラーベ」と呼ばれる新たな法王選びの現場に際会して、新法王の戴冠式にも列した。2日のヨハネ・パウロ2世の死は、初めて西欧やキリスト教と出合った日本のその後の困難な道を考えさせる。

▼印刷術など西洋の文物を祖国に持ち帰って豊臣秀吉の寵愛(ちょうあい)を受けた4人の少年は、やがて禁教によって殉教や転向などの苦難に踏み込んだ。長い鎖国下で弾圧の犠牲になったキリシタンの歴史を振り返ると、「宗教はアヘン」と呼ぶ共産圏の祖国を訪問して、自由への足がかりを作った法王の力に改めて感じ入る。

▼中国の各地で群衆による日系のスーパーなどへの襲撃事件が相次いでいる。領土問題や日本の国連安保理入りに対する反対を掲げて日本製品の不買運動も広がった。チベット問題などを抱える中国では思想や宗教活動への警戒が強く、バチカンとの国交もない。過熱した民衆の暴走の背景にはそんな不満もみえる。


【80字】
弾圧の犠牲となったキリシタンの歴史を見ると、共産圏を訪問し自由を説いた法王の力は偉大だ。日系スーパーや日本製品への中国民衆の暴走は、思想や宗教への不満もあるようだ。

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2005年4月 4日 (月曜日)

【春秋】2005年4月4日

春秋(4/4)
 謝罪と和解。ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が130近い国を説いて回った率直な平和への提言は、第2次大戦後ずっと固くしこったままだった対立の構図を、次々にほぐしていった。冷戦の緊張をゆるめ、宗教対立の猜疑(さいぎ)を解かし、宥和(ゆうわ)が世界に広がった。

▼この政治的寛容が、神の代理者としての宗教的なメッセージにも、いくらか反映していたら、ずっと前にノーベル平和賞を受けていたのではないか、といわれている。生命科学の進展と、社会構造の変化に伴う、生命観と性的価値観の激変に対しては、法王は神に忠実に、伝統を堅持した。

▼生命の誕生や死を、人が操作し決定するのは人類のおごり、と退けた。クローン研究、妊娠中絶、尊厳死、そしてエイズ予防のコンドーム使用にも、この原則を譲ることはなかった。議論を呼んだ米国のテリー・シャイボさんの尊厳死問題でも、ローマ法王庁の立場は「神聖な命に例外はない」とゆるぎない。

▼女性司祭の登用や同性婚も認めなかった。宗教上の規範や伝統的な倫理観を守ることに、ヨハネ・パウロ2世は強い使命感を抱いていたようだ。その決定には誰も上訴や請願ができない神の代理者の後継は、鍵のかかる場所を意味する法王選挙会(コンクラーベ)で、80歳未満の枢機卿の投票で決まる。

【80字】
ローマ法王は宗教上の規範や伝統的倫理観を守ることに強い使命感を持っていた。政治に対してだけでなく、生命観や性的価値観についても神に忠実だった。

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2005年4月 3日 (日曜日)

【春秋】2005年4月3日

春秋(4/3)
 清明まであと2日。桜の開花を前に何やらぐずついていた空模様も、清明には文字通り清浄明潔となるらしい。北宋の詩人蘇軾(豚の角煮で有名な蘇東坡)が、月が陰って暗くなっても、漂う花の香りがあたりを満たすとしたのも、このころの宵闇だろう。

▼濃密な花の香りと、なまめかしい春の風は、生命の底流を想起させるのか、中国では清明に墓参をする習慣があった。沖縄にも清明祭、清明参りなどと呼ばれる墓3、先祖祭がある。墓前では手料理と泡盛で酒宴となることも。しかし、60年前の清明は、悲惨な沖縄戦の序曲だった。

▼東京大空襲など本土の大都市の無差別爆撃に続き、沖縄戦では、戦闘員をはるかに上回る十数万の非戦闘員が命を落とした。広島、長崎の原爆投下と合わせて、おびただしい数の一般市民の犠牲が積み重なって、戦争は終わった。その歴史と失われたすべての命の重みを、春の宵にかみしめるのが、戦後60年の節目なのかもしれない。

▼暦は一巡りして、また還(かえ)る。しかし、人の世は全く同じ位置には戻らない。歴史もDNAに似てらせん構造をしているらしい。一周すると前とは別のステージに到達する。それが進歩といえるかどうか……。とにかくお花見には出かけよう。年々歳々めぐり来る花の色だけは確かめたい。


【80字】
春の訪れを告げる清明だが、60年前の沖縄では沖縄戦の序曲であった。暦が一巡して、我々のいるステージは進歩したのか。とにかく清明を感じに花見には行きたいものだ。

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2005年4月 2日 (土曜日)

【春秋】2005年4月2日

日本とキルギスは兄弟だとする中央アジアの伝説がある。この国の政変は他人事に思えない。今や地域の要塞となっているが、政権が変わっても親戚づきあいは続けていきたい。


キルギス共和国 http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/1320/
           http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kyrgyz/

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2005年1月26日 (水曜日)

2005年1月26日

国際問題では、映画や音楽などソフトパワーが効果的だ。韓流ブームでは、ソフトの力で日韓両国の親しみが増加した。火付け役となったNHK内ではソフトパワーに頼れなかったが。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月25日 (火曜日)

2005年1月25日

今年史上最大規模となる見込みの花粉症により、抗アレルギーの薬の売れ行きが昨年を上回ったものの、実質国民総生産を押し下げている。国民病ともいえる花粉の猛威に術がない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月24日 (月曜日)

2005年1月24日

からくりや仕組みと戯れることのできる道具をガシェットと言う。消費者の遊び心をくすぐるが、開発には高度の技術と莫大な手間が必要となる。ガシェットでも欠陥は許されない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月23日 (日曜日)

2005年1月23日

今回発掘されたミイラは、未盗掘では最古の部類だという。江戸時代にミイラを削った粉末を常備薬とした時期があった。妙薬欲しさの盗掘も、墓作り職人の内部犯行が多かったらしい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月22日 (土曜日)

2005年1月22日

「北限のサル」駆除作戦は、日本のサル学独特の個体識別で悪いサルだけを駆除する。人間社会も個人認証が求められている。しかしこれにより人の自由は拡大しているのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月19日 (水曜日)

2005年1月19日

新・生物多様性国家戦略が決まっており、日本各地では里山の再生事業が始まっている。しかし金融システム再生のための施策に比べると、エコシステム再生の施策は弱い。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月18日 (火曜日)

2005年1月18日

大学全入時代が近づく中、学力低下を懸念して、大学は入試科目を増やし始めた。悪夢のような試験は困るが、競争の強化は若者にどのような影響があるのだろうか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月15日 (土曜日)

2005年1月15日

4163235108.09.LZZZZZZZ対岸の彼女
昨今少子化議論のなかで女性の価値や貢献度を問う傾向が強い。今回直木賞を受賞した作家は、女性の気分を巧みに捉える作品が多い。学問的分析だけでは少子化問題は解けないだろう。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月14日 (金曜日)

2005年1月14日

環境の異常には、調査と専門的な分析が欠かせない。地裁の判決や第三者委員会の結論を無視し、調査や評価がされないまま、農水省は諫早湾の干拓を進めているのは、おかしい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月12日 (水曜日)

2005年1月12日

知的障害者のためのスペシャルオリンピックスは、人間の夢と可能性に向けた努力の輝きの大切さが、お金に代えられない事を知らしめる。LED訴訟の和解金はどう評価されるのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月11日 (火曜日)

2005年1月11日

自衛隊の被災地への派遣では、被災者の手助けのみならず、貴重な体験の教訓を今後に生かすために、持ち帰ってきてほしい。日本もいつ海溝型地震が起きてもおかしくない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月10日 (月曜日)

2004年1月10日

戦後の大人の歴史は、若者たちに関心を寄せてきた。しかし最近はその傾向が衰えているようだ。今後人口の減る若者だが、新時代の担い手達の喜びや悩みは見据えていきたい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月 6日 (木曜日)

2005年1月6日

インド洋大津波の遭難者が多国籍に及ぶこともあり、国際的な救難体制が比較的早く整いつつある。地球的災害の救援では、国際協調の大切さを実感する。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月 5日 (水曜日)

2005年1月5日

スマトラ島沖地震の犠牲者は、海溝型地震としては最悪である。急務である被災者への救援に機敏に対応する日本政府は、震災国として、アジアのリーダーとしての自覚だろう。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2005年1月 4日 (火曜日)

2005年1月4日

日本文化の伝達と発展を担ってきた皇室にとって、今は時代の変化を受け止めて柔軟に制度やあり方を考える時だ。今年は紀宮様の結婚を控え、伝統の承継と発展が問われる。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月29日 (水曜日)

2004年12月29日

EUでは、新参国は高成長を享受することが多い。ウクライナも親欧米派が選挙に勝った。文明圏の違うトルコのEU入り交渉も始まる。EUの東方拡大は歴史的な実験だ。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月28日 (火曜日)

2004年12月28日

震の少ない世界では、津波に無防備だった。「災」の年の最後に、赤道直下で起きた地震による津波の被害の大きさに暗澹とする。新年に向けてこの災いが福になることを祈る。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月27日 (月曜日)

2004年12月27日

正月の飾りに使われるダイダイは、同じ木に代々の実がつく縁起物である。生のダイダイが手に入りにくい。家族の代々が集まり機会が減っているだろうか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月26日 (日曜日)

2004年12月26日

ペットは愛玩動物から伴侶へと地位を変化させている。クローンは究極のペットビジネスになる可能性もあるが「生命とは何か」という重い問いが立ちはだかる。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月25日 (土曜日)

2004年12月25日

国ぐるみででっちあげを行う北朝鮮は、遺骨返還要求に関しまだ糊塗を重ねている。日本政府は、拉致被害者の再調査を求め、経済制裁をほのめかした。両国にとって正念場である。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月24日 (金曜日)

2004年12月24日

今年は「極」について考えさせられた年だった。米国は唯一の軍事超大国となった反面、EUが米国と同等の経済規模となり、米国の赤字を極東が埋める。不均衡な世界である。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月23日 (木曜日)

2004年12月23日

天皇陛下が誕生された昭和初期、日本の産業が大きく転換した。今も時代の変わり目であるが、その頃のような孤立化を選ばず国際化を進めていかなくてはならない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月22日 (水曜日)

2004年12月22日

今年は季節の変化にしまりがない。季節ごとの移ろいがなくなり、人の心も潔さがなくなった。被災地の雪は心配事だが、スキー場には雪がない。雪も強い酸性を示している。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月20日 (月曜日)

2004年12月20日

三越がデパートメント宣言をしたのは、100年前の今日だった。消費者の欲望を刺激する鍵は、陳列方法にあった。現代のネットでの仮想陳列や、量販店の圧縮陳列に、その曲折を思う。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月19日 (日曜日)

2004年12月19日

亡くなられた高松宮妃の行動派の性格は、皇族になっても変わらなかった。病床で紀宮様の結婚を心待ちにしていた。正式発表延期を残念に思っているのは、喜久子様だろう。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月18日 (土曜日)

2004年12月18日

日本の若いトップアスリートの活躍とは逆に、若者の運動離れが顕著だ。スポーツ能力と頭脳の働きが不可分な関係なら、学力低下を止めるために運動は欠かせないだろう。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月17日 (金曜日)

2004年12月17日

CM制作業界では、古いフィルム原版の破棄が進んでいる。製品販売の責任との観点から、CM原版の記録は、企業の務めだ。可能であれば、自由に鑑賞できるようにしてほしい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月16日 (木曜日)

2004年12月16日

年の暮れの供養や納めは、清算の儀式でもある。北朝鮮による拉致問題、奈良の女児誘拐など、けじめのつかない問題もある。初春の準備が始まる今、災いの年にけじめをつけたい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月12日 (日曜日)

2004年12月12日

業界の派遣を争っていたダイエーも、債権放棄を受け、買われやすくなった。今の時代、上場された会社は売買対象である。日ごろから会社の価値を高めておかなくてはならない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月11日 (土曜日)

2004年12月11日

血液型による性格判断は、学術的にも無意味だ。多数は肯定的な商業主義や、血液型を根拠としたいじめも発生している。これらを助長するテレビ局は、資質が問われている。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月10日 (金曜日)

2004年12月10日

安全面をオランダに頼る自衛隊の復興支援は、ヤドリギに似ている。1年間の派遣延長は、論議が浅いまま決定された。首相は疑問に答えるべきだ。努力を惜しむヤドリギは短命だ。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月 9日 (木曜日)

2004年12月09日

めぐみさんの遺骨は別人のものだった。拉致被害者全員の真相解明は、今の体制がある限り無理だろう。しかしこのような無能な対応を見ると、体制崩壊は早いのかもしれない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月 8日 (水曜日)

2004年12月8日

OECDの調査結果では、日本の学力は急落した。教育政策の失敗を隠してきた文科省の責任は重い。首相自ら実のない言葉を発する中、読解力は育つのだろうか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月 4日 (土曜日)

2004年12月4日

固形墨は、匠の技によって産み出され、味が出るまでに3,40年かかる。技を持つ職人は全国に30人に満たない。機械化や国際化が、歳末の伝統行事を変化させている。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月 3日 (金曜日)

2004年12月3日

六ヶ所村でのエネルギーや税制の三位一体改革など、一体感のない折衷案の政策は多い。この国では切地の良い改革は難しいのか。郵政改革はどう乗り越えるのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月 2日 (木曜日)

2004年12月2日

今年を振り返ると、女性の活躍が目立つ。最年少芥川賞受賞者やゴルフの宮里選手、角川短歌賞受賞者などだ。彼女たちには悲壮感がなく軽やかだ。これが原動力なのだろう。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年12月 1日 (水曜日)

2004年12月1日

橋本龍太郎氏は、龍さま」と呼ばれ、中央省庁改革などの改革を行った。しかし最近の「一億円小切手」で弁明する姿が、最近のイメージだ。公開の席で堂々と答えられない理由があるのだろう。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月30日 (火曜日)

2004年11月30日

若者が努力次第で希望が実現できるという、夢が描きにくくなっている。将来の夢を競い合う韓国での集団カンニングと対照的に、ニートの増加や競争に冷めた日本は、冷え冷えしている。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月29日 (月曜日)

2004年11月29日

ブラックバスなどは、複雑で豊かな日本の淡水生態系を破壊している。この輸入などを制限する法律で、対象生物の選定が行われているが、業界の圧力が強く、環境行政の性根が問われている。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月28日 (日曜日)

2004年11月28日

98歳で逝った島田正吾の身上は、晩年まで跳躍し続けたしぶとさだった。その努力が花開くのは、古巣の舞台が消滅してからだった。一人芝居やテレビや歌舞伎に挑戦し続けた。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月27日 (土曜日)

2004年11月27日

大統領選挙の結果を巡って混乱するウクライナは、東欧革命の情景のようだ。民主主義の試練とも言えるが、新たな東西対立の舞台になることへの懸念も広がっている。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月26日 (金曜日)

2004年11月26日

イスラム系移民が100万人いるオランダで、移民排斥を唱える右派政党が台頭し、軋轢が高まっている。この衝突が世界に雛型にならないよう、和合の道を探してほしい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月25日 (木曜日)

2004年11月25日

咲き残った残菊にこそ真価を見出す一方で、新種を珍重したり、盛りも称賛する。日本の季節感は重層的だ。乱開発などで自然が単調になっている。おやじ狩りもこれと無縁ではない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月24日 (水曜日)

2004年11月24日

メンタルヘルス対策に取り組む企業が増えている。心の健康は、几帳面で責任感の強い人ほど危ない。ストレスを受け流せるように、だれもが予防に努める必要がある。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月23日 (火曜日)

2004年11月23日

今日は樋口一葉の命日である。人生と社会への旺盛な関心を持った彼女に比べ、ネット仲間と集団自殺をする若者はむなしい。冬前の穏やかな小春日和に、一葉を思いながら下町歩きも良い。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月22日 (月曜日)

2004年11月22日

大衆音楽の大御所古賀政男は、遺書で自分の歌がなくなり、ハッピーになることを欲した。最近歌は、歌われなくなったが、明るくハッピーになったのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月21日 (日曜日)

2004年11月21日

15年前に民主化へ流血がなく移行したチェコは「ビロード革命」と呼ばれた。北朝鮮も今後現在の体制が継続する可能性は少ない。近隣に影響が少ないビロード革命が望ましい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月20日 (土曜日)

2004年11月20日

責任や拘束を伴う結婚を避け、自由な暮らしを望む風潮がある。最高裁では、夫婦関係には、合意や実態が必要との判決が出た。法的拘束からの自由な関係は、どこまで保護されるのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月18日 (木曜日)

2004年11月18日

ライス新国務長官は、パウエルに同調しイラク戦争を回避しようとしたり、時に強硬派に与したり、本人の意思は霧の中だ。ロシア専門の学者である彼女がどう中東をまとめるのか。

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2004年11月17日 (水曜日)

2004年11月17日

遺骨や特定失踪者情報など北朝鮮の出す話は、実のないものばかりだ。実らない植物には、環境が悪くて実らない場合と、構造的に実らない場合がある。北朝鮮はどちらなのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月16日 (火曜日)

2004年11月16日

紀宮様も活用になさるほどのメール万能の時代である。日本の絵葉書の芸術性は高いが、旅先から近況を送る絵葉書の習慣はどうなるのか。安否不明者の資料同様希望が見えない。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月15日 (月曜日)

2004年11月15日

紀宮様は堅実にご結婚相手を選ばれた。女性の晩婚化にも自然な流れとお考えだ。生態を研究されている翡翠のように、仲睦まじいご家庭を築かれることを祈りたい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月14日 (日曜日)

2004年11月14日

当初不評だった「蝶々夫人」は、代表的オペラ作品となった。100年経ち、文化の距離は縮まった。「キャッツ」は、初演から21年経ち、なお上演されている。夢や憧れも共有したい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月12日 (金曜日)

2004年11月12日

アラファトも家康同様、「死ぬ時節」をわきまえていたのか。関係各国が手際よく葬儀・埋葬の段取りをつけてからの絶命。この手際良さは「工程表」の遂行でも期待したい。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月11日 (木曜日)

2004年11月11日

EU憲法の調印式のあったローマの会場一帯は、ミケランジェロの設計による。彼の作品には凡作がない。一生精進を重ねた彼は、晩年には「神のごとき」と形容されたほどだ。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月10日 (水曜日)

2004年11月10日

スギヒラタケを食べ、急性脳炎になり死亡する事例が増えている。日本の山は今、里山と奥山の境界が消えている。杉山が荒れていることは、スギヒラタケの異変と関係があるのか。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月 9日 (火曜日)

2004年11月9日

OECD学力調査の不本意な結果を受け、ドイツは教育の質を高める方針だ。学力は国の姿を映す。日本の文科省も全国学力テストを実施し、学力で世界のトップを目指すことにした。NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月 8日 (月曜日)

2004年11月8日

ベルリンの壁は15年前に崩壊し、新しい建物も建ち、現在はその痕跡を見つけるのは難しい。しかし東西間の経済格差は縮まらない。朝鮮半島の分断国家の多難な前途を思う。
NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

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2004年11月 7日 (日曜日)

2004年11月7日

剛直な家父長