経済セミナー11月号誌評
今月の特集は、「希望学」。この特集で私は初めて、「希望学」という学問をはじめて目にした。
経済学は乾いた無情なシステマチックなイメージだが、そのなかにあって「希望」という漠然としたウェットなしかし夢のあるワードが学問になっている。
どちらかというと理論から紐解くというよりも、現実から構築する学問なのかな、というイメージが強い。やや学際的な面もある。『「希望格差社会」のゆくえ』というタイトルで東京学芸大学の山田昌弘教授が書かれた一文は、一見未来予測のようであり、しかしもうすでに始まってしまっている「いい学校に行ってもしょうがないけれど、行かなかったらもっとしょうがなくなる社会」の不安を、見事に掬った文章だった。自分の中でも漠然と気がついていたけれど、文字で言われてしまうとやや衝撃的ですらあった。
山田教授は、「教育は内容以上に親の環境による差が大きい」と言う。今までは偏差値さえ高ければよかったが、これからは家庭環境における教養的、コミュニケーション的な差が大きな意味を占めるという。親の生き方、人生が影響するというのだ。
個々人が持つ希望に格差がつく社会。経済学は「効用」「分配」といった概念だけでは語れない現実に直面しているのかもしれない。
平成経済政策論争
バブルの、崩壊までの過程を検証するこの連載は、ちょうど大学での「世界経済論」の授業でバブル経済の経過を見ていることから、今月も興味深く読むことができた。昨日の新聞記事に、「大手銀行中間最終利益は過去最高」とあった。私はこれを見て、ああやっとバブル処理が終わったんだな、と実感をした。バブルとバブル崩壊による揺さぶりは、われわれ日本人に何をもたらしたのか?平成も17年となった今、この連載では、その点まで踏み込んだないようになれば、と思っている。
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